電子契約

【不動産売買】電子契約の導入メリットとは。導入事例を紹介

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昨今、リモートワークやオンライン授業など、さまざまな活動がオンライン上でおこなわれるようになりました。また、本や雑誌の電子版が普及しデータとして見られるなど、デジタル化が進んでいます。

そんななか必要書類が多い不動産取引でも、電子契約が注目されています。

この記事では不動産の電子契約とはどういったものなのか、また、電子契約のメリットについてご紹介します。

不動産の契約業務、手間も費用も削減したい...

電子契約とはデータによって契約をかわすこと

電子契約とはデータによって契約をかわすこと

電子契約とは、紙の書面を使わずに、デジタル上で契約を締結することをいいます。電子ファイルで契約書を作成し、電子署名をして契約を交わします。

そもそも契約は、口頭でも成立します。しかし口頭だけでは時間が経つにつれて、契約時の内容が曖昧になりトラブルが発生する可能性があります。そのため書面で契約を取り交わす方法が主流になりました。

当事者が契約書に記名押印をするか、自筆による署名をすることで、当事者間には法律的な権利義務が生じます。この紙ベースの契約を電子文書で行うことを電子契約といいます。電子文書は紙と同じ法的効力を持ちます。

電子契約では紙を使わないので、コストや手間を削減できます。またお互いの距離や時間に拘束されず、スピーディーに契約を結べるため、業務効率が大きく向上します。

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不動産の契約業務、手間も費用も削減したい...

不動産取引で電子契約が行える範囲

不動産取引で電子契約が行える範囲

これまで不動産取引で電子契約が締結できるのは、駐車場の契約や賃貸借契約の更新といった一部の業務に限定されていました。

不動産取引は動く金額が大きいため、さまざまな法律の制限を受けています。宅地建物取引業法もそのひとつで、下記の3つの業務は対面で行うことが義務づけられていたことから、電子契約が締結できませんでした。

・重要事項の説明
・売買契約の締結
・媒介契約の締結

しかし、2021年5月12日に成立した「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(デジタル改革関連法案)」により、押印や書面交付といった手続きの見直しが行われました。

これには宅地建物取引業法の改正も含まれていて、これまで対面のみに限定されていた不動産取引でも、非対面の電子契約が可能になりました

具体的には、次のような不動産取引において電子契約ができるようになりました。

・媒介契約書
・重要事項説明書
・賃貸借契約書
・定期借地権設定契約書
・定期建物賃貸借契約書

なお、不動産会社が媒介契約を進める際には専用の情報システムであるレインズに登録します。このとき、レインズへの登録を証明する書類として、売主に登録証明書を交付しなければなりません。

2021年5月の改正により、このレインズの登録証明書も電子交付できるようになりました。

ただし、重要事項説明書の内容をオンライン上で説明したり交付したりするためには、電子契約サービスやWeb会議システムといったITツールの導入が必要です。法の施行で電子取引が可能になっても、ツールの導入が遅れているとオンライン上の契約ができません。

スピーディーな電子契約の導入を目指すなら、早めにツールを準備しておきましょう。

不動産の電子契約に関わる法律について気になる方は、こちらの記事もご覧ください。2022年最新版不動産電子契約に関する法律まとめ

不動産取引の電子契約のメリット

不動産取引の電子契約のメリット

不動産業界に電子取引が導入されれば、スムーズな取引が期待できます。ここでは、電子契約のメリットを詳しくみていきましょう。

業務が効率的になる

不動産取引には買主と売主、借主と貸主、不動産会社や管理会社など多くの方が関わっています。

そのため、相互に書面を郵送したりスケジュールを調整したりして、契約を進める必要がありました。

しかし、電子契約であれば書面をデータ化して送付するので時間や場所を選ばず、今までよりもスピーディーに契約を締結できます

コストを削減できる

書面にかかる印刷代や郵送代をはじめ、それらにかかる人件費も削減可能です。

さらに、電子契約では印紙代がかからないのも大きなポイントです。不動産取引では、売買契約書に記載されている販売価格に応じて印紙代が必要です。

通常印紙代は500万円を超え1,000万円以下の不動産は1万円、1,000千万円を超え5,000万円以下の不動産は2万円、5,000万円を超え1億円以下であれば6万円になります。

電子契約は、こういったコストを削減できます。

コンプライアンスが強化できる

書面よりもデータの方が、コンプライアンスを強化できます。

電子データを外部のデータセンターで保管できるので、破損や損失の心配もなく、災害の被害も抑えられるでしょう。

また、データのアクセス履歴を見られるようにしておけば、改ざんなどの不正も防止できます。

保管の手間がかからない

電子契約では、契約書面を物理的に保管するスペースが必要ありません。

契約書や重要事項説明書は一定期間保管する必要があるため、紙の契約は非常に場所を取ります。ですが、電子契約では契約書類がすべて電子ファイル化されるため、事務スペースを圧迫しません。

また、契約書類が必要になったとき、簡単に探しだせるのも電子契約のメリットのひとつです。契約書面はPCやクラウド上に一括保管されるため、検索機能を使えばスピーディーに見つけられます。

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不動産取引での電子契約の基本的な進め方

それでは、不動産取引で電子契約を締結する流れをみていきましょう。

書面に変わるオンライン上の電子契約手続きは、それほど難しいものではありません。遠く離れているお客様とも取引ができ、お互いに負担をかけずに契約を結べるので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ステップ1.契約内容をオンラインで説明する

契約をする前に、不動産取引に関する重要事項説明書の内容をオンライン上で説明し、書面を交付します。これは宅地建物取引業法の規定によるもので、対面で行う契約と変わりはありません。

書面で契約する場合は、宅地建物取引士が面前で内容を説明しますが、電子契約ではWeb会議などのITツールを介して行います。モニター越しに宅地建物取引士証を提示して行う、いわゆる「IT重説」と呼ばれる手続きです。

契約に必要な重要事項説明書は、あらかじめ不動産会社からお客様に電子ファイルで送り、モニターを介して確認しながら説明をすすめます。

ステップ2.電子契約を結ぶ

確認が済んだ段階で、不動産電子契約サービスを介して重要事項説明書に電子署名を求めます。電子署名をした書面は、本人が行った契約書面としての法的拘束力があります。

電子契約サービスを介するのは、本人以外のなりすまし契約のリスクを防ぐためです。

電子署名はオンライン上で行う電子サインのなかでも信頼性が高く、認証局が厳格に本人確認をしています。対面契約で記名押印したものと同様に扱われるため、重要事項説明書が宅地建物取引業法にもとづく真正な書面として担保されます。

このとき、モニター越しで確認して、本人による契約であることを担保する必要があります。

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不動産会社が電子契約を導入する際の注意点

電子契約は、不動産取引の現場でこれからメジャーになっていく新しい取り組みです。メリットが大きい反面、注意すべき点もいくつかあります。

具体的に、不動産会社が電子契約を導入するうえで注意すべき点をみていきましょう。

電子と書面の両方に対応する

電子契約を導入しても、電子契約だけでなく、書面での対面契約にも対応する必要があります

総務省が定めたデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針の概要では、「当事者の承諾がある場合に、書面の交付に代わり電磁的記録による提供を可能とする。」と明記されています。

つまり、契約者が電子契約ではなく、従来どおりの書面での契約を希望した場合は、その要望に答えなくてはいけないわけです。

近年はPCやインターネットの普及で、デジタル機器の扱いに慣れたお客様が増えています。その一方で、PC操作に苦手意識をもつ方はまだまだ多く、オンライン上での契約に対する抵抗感から電子契約に同意が得られないことも想定されます

企業としてはお客様の要望に応えられるよう、万全の対処が求められます。

セキュリティとコンプライアンスの強化を図る

電子契約の導入時は、セキュリティとコンプライアンスの強化を図ることも大切です。

電子契約ではオンライン上でデータのやり取りができ、管理や共有がしやすくなる一方で、常にデータ流出や破損などのリスクがつきまといます。

電子契約を導入することによって起こり得るリスクは次のとおりです。

データの破損・流出

電子ファイルをはじめとするデータは、サイバー攻撃などによって破損したり流出したりするリスクがあります。不動産取引の契約書面には個人情報が含まれているほか、高額な取引に関するやり取りもあるため、取り扱う際は注意が必要です。

アクセスできる階層の制限や高い暗号技術があるサービスの利用などのサイバー攻撃を防ぐためには、システムと社内ルールの両面でセキュリティ強化を図ることが大切です。

電子署名のなりすまし

電子署名のなりすましとは、契約者本人ではない第三者が本人のメールアドレスを乗っ取るなどして電子署名することを指します。なりすましが起こると、契約の確実性を証明できません。

なりすましを防ぐには、二要素認証機能をはじめ本人確認機能が強化されたシステムを選択するとよいです。

電子署名の有効期限切れ

電子署名は契約内容を改ざんしていないことを証明するのに有効ですが、電子契約における電子署名は有効期限が5年と定められています。有効期限が設定されている理由は、暗号技術が将来にわたって絶対的なものである保証がないためです。

現在は、電子証明書やタイムスタンプといった高度な暗号技術が使用されています。しかし、将来的に暗号解読技術が向上し、現在使用されている高度な暗号技術も突破されてしまう危険性が考えられます。

このような事態に備え、電子署名には有効期限が設けられているのです。有効期限が切れた電子証明書は失効になります。失効すると本人が署名したことや改ざんされていないことを証明できません。

そのため、電子署名の有効期限切れを防ぐために電子契約を延長する措置が必要です。具体的には、最新のタイムスタンプの付与、または長期署名の付与による措置です。長期署名は10年単位で延長できます。

電子契約の電子署名には有効期限があり、対策を怠ると期限切れになるリスクがあります。事前に有効期限の管理や延長措置の適用など対策を立てておくことが重要です。

導入にかかるコストの準備を行う

電子契約の導入のためには、インターネット環境やPCなどのデバイス、ツールの導入が必要です。

なお、電子契約ツールの利用にはランニングコストがかかります。毎月の固定料金に加え1件あたりの費用が加算される料金形態のサービスが多いためです。電子契約の導入時は印紙税や交通費などの削減可能なコストと発生するコストのバランスを考慮しましょう。

また、導入後スムーズに社員にシステムを利用してもらうためには、導入目的やメリットを社員に周知したうえで、システム利用のための教育を実施することも重要です。教育費も含め、必要なコストを計算して資金に余裕を持たせておきましょう

契約相手からの理解を得る

電子契約を導入することに対して、契約相手からの理解を得ておくことも大切です。

電子契約をするのは、取引企業や売主、買主といった契約相手、すなわちお客様です。デジタルへの移行に不安を抱く方はまだ多いため、電子契約のメリットや必要性、手続きに関する説明をしっかりして、理解を求めましょう。

商取引のデジタル化は、さまざまな分野で進んでいます。不動産取引においても今後ますます需要が高まることが予想されるため、丁寧なケアでスムーズな導入を目指してください。

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電子契約システム選びのポイント

不動産取引で電子契約を導入する際は、どのシステムを選ぶかが重要になります。電子契約システムはどのような観点から選ぶとよいのでしょうか。システム選定時の3つのポイントを紹介します。

電子署名法を満たす契約が可能か

トラブルにより裁判になった場合、電子署名法を満たす電子契約でないと、その契約を認めてもらうことができません。次の2つのポイントを満たしているか確認しましょう。

電子署名法を満たす条件
・本人が電子証明を押すこと
・改変されてないことがわかること

法務省では、公式に認定した一覧が公開されていますので、あわせて確認しておくとよいでしょう。

電子帳簿保存法を満たす保存ができるか

電子契約による契約書のデータは、電子帳簿保存法の要件に従って電子保存しなければなりません。例えば、契約の確実性を証明できることなどが同法を満たす重要なポイントになります。

電子契約システムを選ぶ際は、電子帳簿保存法を満たす保存ができるかも確認しましょう。

認定タイムスタンプの付与が可能か

タイムスタンプとは、電子文書の確定時刻を証明するための、技術的な仕組みのことを指します。電子文書は、文書の完全性が証明されることで、法的効力を持ちます。タイムスタンプは、その完全性を証明する役割を担っています。

そのなかでも認定タイムスタンプは、国から認定を受けた事業者に付与される信頼性の高いタイムスタンプのことです。データ改変が行われていないことを証明するには、認定タイムスタンプの付与が有効です。

契約書の信頼を高めるには、日本データ通信協会の事業者リストを参考に認定タイムスタンプを付与できるかも確認しましょう。

また、電子契約システムを選ぶ際に確認すべきことを知りたいという方は、以下の記事で詳しく解説しています。不動産向け!電子契約システムを選ぶ際のチェックポイント3選

まとめ

今回は、不動産取引の電子契約についてご紹介しました。

電子契約はメリットが非常に多く、今後広く普及していくことが予想されます。時代の波に乗り遅れないためにも、しっかりと情報をインプットしたうえで自社に合ったツールやサービスを導入しましょう。

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不動産会社の電子契約いえらぶサイン

株式会社いえらぶGROUP

この記事を書いた人株式会社いえらぶGROUP

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