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法定更新とは?不動産管理会社のデメリットや更新料の行方について解説

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契約更新時期の管理ってとても大変ですよね。入居者ごとに契約時期は異なりますし、管理戸数が増えるにつれ入居者もどんどん増えていき、日々頭を悩ませているかもしれません。

ただでさえ、管理会社の業務は仲介会社とのやり取りや契約業務、入出金管理など多岐に渡り複雑です。

そんな忙しさに追われ、ついつい契約更新の時期を見落としてしまった、などという経験のある管理会社の方もいるのではないでしょうか。

仮に契約更新時期を見落としてしまった場合でも、賃貸借契約は「法定更新」され、自動的に更新となります。その場合、更新料はどうなるのでしょうか。

法定更新になった場合でも損をしないよう、デメリットにならない対策をしっかりと考えていきましょう!

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合意更新と法定更新

賃貸の契約更新は主に2種類あり、①合意更新②法定更新があります。

合意更新とは

合意更新とは、貸主借主双方が合意をしたうえで契約を更新することです。
管理会社が賃貸借契約の更新についての通知書を送り、借主が更新を希望した場合に、合意更新となります。

管理会社はこの契約更新をするタイミングで、賃貸借契約で定められている更新料を請求し、借主は更新料を支払わなければなりません。

契約の更新についての通知書は、更新の2~3カ月前に送られることが一般的です。

法定更新とは

法定更新とは、契約更新に関する同意が契約終了までになされなかった場合、借地借家法に基づいてこれまでの契約内容・条件で契約が自動で更新されることを指します。

理由に関係なく、契約の更新がされなかった場合は法定更新となり、同じ賃貸条件で賃貸借契約が継続するということです。

また、法定更新は「期間の定めのない更新」となるため、2年ごとに契約更新といったようなその後の契約更新がなくなります。

借主が解約の申し入れをするか、貸主が正当事由により退去を命じない限り、契約は続くということです。

かと言って、貸主が更新をしない、解約を申し入れるといった場合には正当事由が必要です。正当事由を提示して退去を命じることはかなりハードルが高いため、実質的には借主が解約の申し入れをするまで半永久的に契約が続きます。

法定更新は管理会社にとってメリットはないと言えます。

というのも、合意更新ができなかったからといって強制的に契約を終了させてしまうと、借主は住まいを失います。そういうときのための救済措置として位置付けられているのが法定更新だからです。
また法定更新時に、借主に不利な特約を設けても無効になります。

借地契約の法定更新

借地契約においても、賃貸借契約と同様に法定更新が行われる場合があります。
更新後の契約期間は、最初の更新が20年、その後の更新が10年です。

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法定更新された時の更新料はどうなる?

それでは法定更新をされた場合、更新料はどうなってしまうのでしょうか?更新料の請求を契約者にすることは可能なのでしょうか。

答えは、原則、更新料の請求はできません。法定更新の場合、更新料の支払い義務はありません。

また、その後の更新料の請求ができなくなるので、管理会社にとっては大きな痛手となります。

二度と更新料を請求できないというのは、管理会社にとっては絶対に避けなければなりません。だからこそ、契約更新時期は見落としが無いよう、きっちりと管理する必要があります。

事前に対策しておけば更新料を請求できる

では、法定更新されることが無いよう、管理会社はしっかり管理するしか方法は無いのかというと、そうではありません。

管理会社の業務の幅は広く、管理業者も人ですから見落としてしまうこともあります。

その場合、事前に対策をしておくことで、仮に更新通知を送り忘れてしまったとしても更新料を請求できます。

もちろん、契約更新時期を見落とさないことが一番ではありますが、万が一うっかり忘れてしまった時の保険として、賃貸借契約書に法定更新についての記述をするようにしましょう。

この時に注意するポイントは、「契約更新については~」というような、更新の種類が不明確の記述を避ける点です。

合意更新なのか法定更新なのか良く分からない場合、更新料の請求をしても支払ってもらえない可能性もあります。

また、更新料に対してだけでなく、法定更新後の契約期間についても記述していない場合は、その後の契約期間がなくなってしまうので注意が必要です。

「法定更新された場合でも、2年ごとに家賃1カ月分の更新料を支払うものとする」「法定更新された場合の契約期間は2年とする」などと明記しましょう。

このように、特約や条文の中に、法定更新されても2年周期での契約とし更新料を支払うものとするという記述があった場合、一度法定更新がされても更新料を二度と請求できないという事態に陥ることはありません。

契約書も上手に使って、法定更新の対策をしましょう!

借主都合による法定更新になる場合も

ここまで管理会社が契約更新の通知を忘れてしまったケースをお話ししてきましたが、借主都合によって法定更新になる場合もあります。

例えば、「契約更新の通知書を送っているのに契約更新の手続きがされなかった」などというケースです。

その場合も契約更新の時期を過ぎてしまうと法定更新になってしまい、賃貸借契約書に明記していない場合更新料を請求できません。

なぜこのようになってしまうかというと、法定更新はもともと、契約更新で揉めている場合などに契約解除とならないよう借主を守るために作られたものだからです。

ですので、もし管理会社が契約更新の通知をしていた場合でも、借主が契約更新を期日までにしていなければ強制的に法定更新になってしまうのです。

法律上、このように借主都合で法定更新になってしまった場合でも管理会社は更新料を請求できません。

契約更新のやり取りの最中に契約期間を過ぎてしまった、という場合も同様なので、このような場合に更新料を請求できない、ということにならないためにも、事前に賃貸借契約書に明記しておくことをおすすめします。

法定更新された時の滞納分の家賃は?

法定更新をされた場合、滞納されていた家賃はどうなるのか、疑問に思う方もいるかもしれません。

従前の契約と同一の条件で更新する、というのは、借主にとっても同様です。つまり、法定更新になったとしても滞納している家賃は借主が支払う義務があります。

また、連帯保証人についてもそのまま引き継がれるので、合意更新の場合と同じように対応することが可能です。

まとめ

今回は法定更新になってしまったときの更新料と対策方法について紹介しました。

管理戸数が増えれば、管理する入居者、管理する契約も増えていきます。入居者ごとに契約更新の時期も異なるので、更新通知の送り忘れも起こる可能性がないとは言い切れないと思います。

法定更新されてしまった場合、その事実をひっくり返すことは出来ません。

しかし、契約書のなかに法定更新について明確に記載があれば話は別です。

更新時期の見落としがあっても大丈夫なように、また万が一、借主都合など何らかの理由で法定更新になってしまった時のためにも、かけられる保険はかけて対策しておきましょう。備えあれば患いなしです。

とはいっても「契約更新の通知を送る」というのが基本ですのでなるべく漏れのないようにしっかり管理していきましょう。「更新の通知がこなかったから更新しないつもりでいたのに」といった借主とのトラブルを防ぐためにもしっかりと契約の更新をすることが大切です。

また、仮に管理会社の通知のし忘れにより法定更新になってしまった場合も、入居者に対して迷惑をかけてしまうことになるので、謝罪とともに丁寧に対応するようにしましょう。

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この記事を書いた人株式会社いえらぶGROUP

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