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不動産起業の始め方は一つではない!事業モデル・開業形態の選択肢を徹底解説

不動産起業の形は今、かつてないほど広がっています。決まったやり方に縛られず、ご自身の状況に合わせて自由なスタイルを選べる時代になりました。

結論からお伝えすると、「駅前に路面店を構え、ポータルサイトに多額の広告費をかけて反響を待つ」という従来の開業モデルは、もはや数ある選択肢の一つに過ぎません。店舗家賃や人件費で固定費が高額になるため、まずはさまざまな方法を把握したうえで、事業計画を練ることをおすすめします。

現在、不動産業界では、ビジネスモデルや起業のあり方そのものが多様化しています。

大きく分けると、その変化は次の2つの軸で整理できます。

① 事業モデルの多様化
従来の賃貸仲介・売買仲介だけでなく、物件を仕入れて付加価値をつけて販売する買取再販や、空き家・事業用物件・民泊など、特定の領域に強みを持つビジネスモデルも広がっています。

② 開業・運営形態の多様化
駅前に店舗を構えて複数人で営業する従来型のスタイルだけでなく、1人・少人数での運営、自宅を活用した開業、既存企業との業務委託、大手FCへの加盟、完全独立など、事業の始め方や運営方法にもさまざまな選択肢があります。

さらに、CRMや電子契約などのSaaSを活用することで、少人数でも業務を効率化しやすい環境が整いつつあります。

本記事では、まず不動産業界で広がっている『事業モデルの多様化』を整理し、その後、開業・運営形態の代表例として『大手FC加盟』と『完全独立』を比較します。

不動産開業を成功させるために

1. 賃貸仲介と売買仲介が不動産業の基本となる事業モデル

不動産ビジネスの基本的な事業モデルとして、「賃貸仲介」と「売買仲介」があります。

両者の大きな違いは、「成約までの期間」と「仲介報酬の基準」です。

ビジネスモデル成約までの期間(目安)主な仲介報酬の基準単価特徴と事業への影響
賃貸仲介2〜4週間賃料を基準に算定低案内から契約までのサイクルが比較的短く、件数を積み上げるビジネスになりやすい。
売買仲介2〜3か月以上売買価格を基準に算定高1件あたりの報酬は大きくなりやすい一方、住宅ローン審査や契約・決済などを経るため、収益化まで時間がかかりやすい。

賃貸仲介では、貸借の媒介によって受け取れる報酬に上限が定められており、原則として貸主・借主双方から受け取る報酬の合計は賃料1か月分相当までです。居住用物件では、一方の依頼者から受け取れる額についても別途ルールがあります。

一方、売買仲介では、売買価格を基準として仲介報酬の上限が定められています。そのうえで、売主・買主のどちらか一方、または双方から媒介を受託するかによって、収益構造が変わります。

売買仲介の「片手取引」と「両手取引」

売買仲介の収益構造を理解するうえで押さえておきたいのが、「片手取引」と「両手取引」です。

売買仲介の「片手取引」と「両手取引」

片手取引
売主または買主のどちらか一方から媒介を受託し、法令で定められた上限の範囲で仲介報酬を受け取る形式。

両手取引
同じ不動産会社が売主・買主双方から媒介を受託し、それぞれから仲介報酬を受け取る形式。

両手取引では双方から報酬を受け取れるため、片手取引と比べて1案件あたりの仲介売上が大きくなる可能性があります。

ただし、創業時から売主側の媒介案件を継続的に獲得できるかどうかは、これまでの実務経験や人脈、地域での認知度、集客経路などによって異なります。

業界未経験で顧客基盤がない場合には、まず他社が預かっている物件の買主側仲介から経験や実績を積み、その後、売却相談や媒介案件の獲得へ広げていく方法もあります。

賃貸と売買を両方扱う場合は業務配分に注意

「成約サイクルの短い賃貸と、1件あたりの報酬が大きい売買を組み合わせたい」と考えるケースもあります。

賃貸と売買を両方扱うこと自体に問題はありませんが、少人数で起業する場合は業務量の配分に注意が必要です。

特に売買を主軸とする場合、内見対応や契約対応など、件数の多い賃貸業務に時間を割きすぎると、売却案件の獲得や買主への追客といった売買営業に十分な時間を確保できなくなる可能性があります。

そのため、複数の事業モデルを組み合わせる場合は、「どの事業を主軸にするのか」「どこまで自社で対応するのか」をあらかじめ決めておくことが重要です。

ここまで紹介した賃貸・売買仲介は、不動産会社が売主と買主、貸主と借主をつなぎ、その仲介報酬を収益源とするビジネスモデルです。

次章では仲介以外の選択肢として、自社で物件を仕入れて付加価値をつける「買取再販」のビジネスモデルを見ていきます。

不動産開業を成功させるために

2. 付加価値を生み出す「買取再販」のビジネスモデル

賃貸仲介や売買仲介が、貸主・借主、売主・買主をつなぎ、その仲介報酬を収益源とするのに対し、自社で物件を仕入れ、価値を高めて販売するのが「買取再販」というビジネスモデルです。

買取再販では、仲介手数料ではなく、「販売価格-仕入れ価格-改修費-諸経費」の差額が主な利益の源泉となります。

自社で物件を保有するため仕入れ資金が必要となるほか、工事費の増加や販売期間の長期化、販売価格の下落などのリスクも負います。その一方で、仕入れた物件にどのような付加価値をつけ、誰に販売するかを自社で企画できる点が仲介ビジネスとの大きな違いです。

買取再販市場では、既存住宅を取得してリフォーム・リノベーションを施し、再び市場に流通させるビジネスが展開されています。国土交通省も、質の高い既存住宅の流通を促進する事業形態として買取再販を位置づけています。

空き家・古民家を再生する

空き家や古民家を取得し、耐震性や省エネ性能、設備、デザインなどを改善して再び市場へ流通させる方法です。

単に建物を新しくするだけでなく、既存住宅が抱える性能面や使い勝手の課題を改善することで、新たな購入者につなげます。

ターゲットを明確にしたリノベーション

「ペットとの暮らし」「スマートホーム」など、特定の購入者層を想定して設備や間取りを設計する方法もあります。

ターゲットのニーズと合致すれば物件の差別化につながる一方、追加する改修費と販売価格のバランスを事前に見極めることが重要です。

買取再販ビジネスの基本構造は、以下のように整理できます。

項目買取再販モデルの特徴と事業への影響
利益の源泉販売価格-(仕入価格+改修費+諸経費)
収益化まで物件の仕入れ、改修、販売を経るため、仲介と比べて資金を回収するまで時間がかかりやすい
必要な資金物件の仕入れ代金、改修費、保有期間中の諸費用など
主なリスク仕入れ資金の確保、想定外の工事費、販売期間の長期化、販売価格の下落
三津田
㈱いえらぶGROUP 執行役員 三津田貴紀
~収益性を左右する「仕入価格」と「原価管理」~
買取再販では、仕入価格が収益性を大きく左右します。想定する販売価格から改修費や諸経費、必要な利益を逆算し、採算の合う価格で仕入れることが重要です。
また、中古物件では、仕入れ後に雨漏りやシロアリ、設備不良などが判明し、追加工事が必要になる場合があります。そのため、仕入れ前の調査に加え、想定外の工事に備えた予備費を事業計画に組み込み、収支に余裕を持たせる必要があります。
不動産会社や士業、地域のネットワークなど複数の仕入れ経路を持つことも、条件に合う物件情報を得る機会を増やすうえで重要です。

買取再販は、物件を仲介するだけでなく、自社で仕入れた不動産に付加価値を加え、商品として再び市場へ送り出すビジネスモデルです。

仕入れや企画の自由度が高い一方、資金調達や原価管理、販売までの在庫リスクを自社で負う点が仲介との大きな違いです。

次章ではさらに選択肢を広げ、空き家や権利関係が複雑な物件、事業用物件、民泊など、専門知識を活かして差別化を図る「ニッチ領域」のビジネスモデルについて見ていきます。

3. 専門性を活かして差別化する「ニッチ領域」のビジネスモデル

買取再販のような事業モデルに加え、不動産起業の選択肢として考えられるのが、特定の領域に専門性を持つ「ニッチ特化型」のビジネスモデルです。

こうした領域では、一般的な住宅仲介とは異なる法務・建築・店舗運営・宿泊事業などの知識が求められます。そのため、特定分野の専門性やネットワークを蓄積することが、他社との差別化につながります。

ここでは代表的な3つの領域について、収益が生まれる仕組みと、参入時に必要となる実務の特徴を見ていきます。

不動産業界を代表する「ニッチ領域」のビジネスモデル

① 訳あり物件・空き家再生

共有持分、境界未確定、接道条件などの課題を抱え、一般的な住宅市場では流通しにくい物件を扱うモデルです。

権利関係や境界、建築条件などを整理することで、売却しやすい状態へ改善できる場合があります。

取得価格を抑えられる可能性がある一方、測量・法務・交渉・工事などに費用と時間がかかるため、問題解決後の売却価格まで含めた収支判断が重要です。

案件によっては、土地家屋調査士や弁護士・司法書士、建築士などとの連携も必要になります。境界確認や共有関係の整理に加え、接道条件に課題がある場合には、建築基準法第43条第2項に基づく認定・許可の可否などを確認します。

② 事業用テナント・店舗仲介

飲食店や美容室、物販店などの事業者を対象に、店舗物件の仲介や、前テナントの内装・設備を引き継ぐ「居抜き物件」の造作譲渡などをサポートするモデルです。

事業用物件の賃貸仲介にも仲介報酬の上限があります。一方、店舗物件では通常の賃貸仲介に加えて、造作譲渡や出店条件の調整など幅広い実務が関係する場合があります。

そのため、居住用仲介とは異なる専門性を蓄積し、特定業種の出店支援に強みを持つことで差別化できます。

実務では、用途地域や建物の利用条件だけでなく、業種に応じた給排水・電気・排気設備などの確認、商圏や周辺環境の分析などが重要になります。

③ 民泊・宿泊施設の運営支援

賃貸住宅や空き家などを宿泊施設として活用し、施設の立ち上げや集客、清掃、日々の運営などを支援するモデルです。

宿泊需要のあるエリアでは、長期賃貸とは異なる収益モデルを構築できる可能性があります。ただし、宿泊単価や稼働率だけでなく、清掃費、予約サイトの手数料、運営費なども含めて収益性を判断する必要があります。

また、自社で施設を運営するだけでなく、オーナーから施設運営や管理を受託し、継続的な管理報酬を収益源とする方法もあります。

民泊・宿泊施設を運営する場合は、住宅宿泊事業法による届出、旅館業法による許可、特区民泊など、採用する制度によって営業日数や設備・管理要件が異なります。住宅宿泊事業法による民泊では、年間の宿泊提供日数は180日以内です。

実務では、採用する制度に応じた消防・建築・衛生面の要件を確認するとともに、近隣への配慮や清掃・宿泊者対応などの運営体制を整える必要があります。

三津田
㈱いえらぶGROUP 執行役員 三津田貴紀
~ニッチ領域では「専門性」と「対応力」が差別化につながる~
権利関係の整理や店舗設備、宿泊施設の運営など、案件ごとに個別対応が必要な領域では、業務を標準化しにくい傾向があります。
そのため、少人数の会社でも特定分野の知識や士業・専門業者とのネットワークを蓄積することで、「この分野なら相談できる」という独自のポジションを築ける可能性があります。

ここまで見てきたように、不動産の事業モデルには、賃貸仲介・売買仲介・買取再販・ニッチ特化などさまざまな選択肢があります。

それぞれ、必要な資金、収益化までの期間、求められる知識や人脈が異なるため、自分が持つ資金や経験、得意分野と照らし合わせて主軸となる事業モデルを検討することが重要です。

ここまで「どのような事業で収益を生み出すか」という事業モデルの選択肢を見てきました。次章からは視点を変え、「どのような体制で事業を始め、運営するか」という開業・運営形態の多様化について見ていきます。

4. 大手FC加盟と完全独立の違いを比較

不動産会社を開業する際には、「大手フランチャイズのブランドや仕組みを活用するか、自社ブランドで完全独立するか」という選択肢があります。

大手FCへの加盟では、ブランド認知や本部の営業支援、研修、業務システムなどを活用できる場合があります。一方、完全独立では、ブランドや集客の仕組みを自社で構築する必要がありますが、経営の自由度が高く、必要なサービスやツールを自社の規模に合わせて選択できます。

また近年は、CRMや査定、電子契約などのSaaSが普及したことで、完全独立でも業務インフラを整えやすくなっています。ただし、FCが提供するブランド力や集客支援、営業ノウハウまでSaaSだけで代替できるわけではありません。

そのため、FC加盟と完全独立は、「ブランド・集客」「費用」「業務支援」「経営の自由度」といった複数の視点から比較することが重要です。

大手FC加盟と完全独立の違い

① 大手FCに加盟する開業・経営スタイル

ハウスドゥやセンチュリー21などのフランチャイズに加盟し、既存ブランドの名称や営業ノウハウ、業務支援を活用する方法です。

本部によっては、査定システム、販促物、研修、営業支援ツールなどを利用できます。未経験から始める場合には、営業ノウハウや業務の型を学びやすい点がメリットになります。

一方、実際の集客力やサポート内容はFCブランドや加盟プランによって異なります。

また、FC加盟では、加盟金や保証金、ロイヤリティ、システム利用料などの費用が発生する場合があります。売上にかかわらず固定費が発生する契約もあるため、加盟前に初期費用と毎月の支出、受けられる支援内容を確認しておくことが重要です。

② 自社ブランドで完全独立する開業・経営スタイル

FCに加盟せず、自社ブランドで不動産会社を運営する方法です。

完全独立では、ブランドづくりや集客、営業の仕組みを自社で構築する必要があります。一方で、FCのルールに縛られにくく、自社の事業モデルや顧客層に合わせてサービス内容や業務フローを設計しやすい点が特徴です。

近年は、必要なITツールを組み合わせることで、少人数でも業務を効率化しやすくなっています。

完全独立で活用できる主なITツール

追客・CRM
顧客情報の管理、自動メール配信、LINE連携など

調査・査定
不動産価格の査定支援、物件・土地情報の取得など

契約実務
IT重説や電子契約など

SaaSを活用することで、顧客管理や査定、契約など一部の業務では、大規模なシステム投資をせずに、効率的な体制を整えやすくなっています。

三津田
㈱いえらぶGROUP 執行役員 三津田貴紀
~完全独立では「集客」と「業務効率化」を分けて考える~
完全独立では、FCブランドに頼らない集客経路を自社で構築する必要があります。
MEOやSNS、ポータルサイト、紹介、地域ネットワークなど、利用できる集客手段はさまざまです。どの方法が適しているかは、賃貸仲介・売買仲介・買取再販など、主軸とする事業モデルによっても異なります。
また、CRMや査定、電子契約など複数のITツールを導入する場合は、機能の重複や二重入力が増えないよう、データ連携しやすい仕組みを選ぶことも重要です。
少人数で運営する場合には、こうした業務効率化によって、営業や顧客対応に充てる時間を確保しやすくなります。

FCのブランドや支援体制を活用するか、自社ブランドで自由度の高い経営を目指すかは、資金、経験、集客力、必要なサポートなどによって判断が変わります。

ここまで、不動産起業におけるさまざまな「事業モデル」と「開業・運営形態」を見てきました。最後に、それぞれの選択肢をどのように組み合わせて考えるかを整理していきます。

自分に合った「事業モデル×開業・運営形態」を考えよう

本記事では、現代の不動産起業におけるさまざまな選択肢について解説してきました。最後に、ここまで紹介してきた内容を整理します。

不動産業における起業の多様化

事業モデルの多様化
基本となる賃貸・売買仲介に加え、自社で物件を仕入れて付加価値をつける買取再販や、空き家・事業用物件・民泊など、専門知識を活かして差別化を図る事業モデルがあります。

開業・運営形態の多様化
1人・少人数での運営、自宅を活用した開業、業務委託、大手FCへの加盟、完全独立など、資金や経験に応じてさまざまな形を選べます。また、CRMや電子契約などのSaaSは、その運営を効率化する手段の一つです。

少人数で始めるなら「業務の仕組み化」も考える

1人・少人数で運営する場合は、物件調査や書類作成、顧客管理、追客などの実務に時間を取られ、主軸となる営業活動や顧客対応、物件の仕入れなどに十分な時間を確保しにくくなる場合があります。

そのため、CRMや電子契約などのITツールを活用し、定型業務や情報管理を効率化することも一つの方法です。

ただし、複数のSaaSを無計画に導入すると、機能の重複や二重入力、月額コストの増加につながる可能性があります。導入する際は、自社の業務フローに合っているか、ツール同士を連携しやすいかといった点も確認することが重要です。

不動産起業に、決まった一つの形があるわけではありません。

まずは「何を収益源にするか」という事業モデルを考え、そのうえで「どのような体制で始め、運営するか」という開業・運営形態を検討すると、自分に合った起業スタイルを整理しやすくなります。

手元資金、実務経験、集客経路、仕入れネットワーク、必要な専門知識、リスク許容度、目指す働き方などを照らし合わせながら、「事業モデル×開業・運営形態」の組み合わせを検討していきましょう。

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この記事を書いた人いえらぶ編集部

全国15,000社の不動産会社の業務効率化や売上アップをサポートする中で得たノウハウを日々発信中。SNS集客やBPOサービスなど、最新の情報もどんどん発信していきます。

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