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【不動産のメルカリは生まれるか】日本の不動産CtoCサイトの未来


ある物件オーナーの話です。アットホームで見つけた中古戸建が家いちばで1500万円で売れたとのことです。購入金額は600万円だったとのことで2倍以上の金額で売れたことになります。

900万円の利益が出たかと言えば短期譲渡所得税がおおよそ利益の40%かかりますので500万円も手残りは無かったという事ですが、それでもとても大きな儲けだと思います。



現在、家いちばは月間の訪問者数が20万程度あるようです。

家いちばとは売りたい人が直接、家いちばに物件情報を投稿して買いたい人はそれを見て直接、売り手に問合せるサービスです。そして交渉がまとまり契約の段階になれば、宅建士が安全でトラブルのない取引をしっかり対応するというサービスです。セルフサービスとプロのサポートの良いとこどりで今、人気になっています。物件の良さを誰が一番分かっているかと言えば、不動産業者ではなく物件オーナーです。その物件オーナーがライティングの力があり、買いたいという人との対応力(営業力)があるのであれば、その物件オーナーにとって家いちばはとてもよいツールでしょう。どこにこだわって建てたのか、建てた後、どのような事を考えてメンテナンスをしてきたのか、物件のスペックだけではない、数字だけではない気持ちの部分のアピールコメントに記載することが出来るわけです。

家いちばは「空き家」のCtoCサイトな訳ですが、「空き家」というキーワードで検索している人は近年増えてきています。この流れにも乗って家いちばのアクセスは増えているとも考えられます。


空き家というカテゴリで見るとアットホームとライフルが手掛ける全国版空き家サイトの現状はどうなっているのでしょうか。国交省は平成29年5月26日~6月9日にかけて全国版空き家・空き地バンクの運営を行う事業者の募集をしました。そこで事業者として選ばれたのがアットホームとライフルです。

国交省の資料によると平成30年2月26日の全国版空き家・空き地バンクの公開物件数が下記の通りです。

■アットホーム:814件
■ライフル:2,049件

令和2年7月20日の公開物件数は下記の通りです。

■アットホーム:5,461件
■ライフル:5,334件

増えてはいますが、全国を対象にしたサイトの物件数としては少ないように感じます。


サイトの訪問数は家いちばと比べてどうでしょうか。ライフルの全国版空き家サイトはサブドメインのため、アクセス解析が出来なかったのですがアットホームの全国版空き家サイトを調べてみたところ下記の通りでした。

■アットホーム社の全国版空き家サイト:13万セッション
■家いちば:20万セッション

家いちばの方がアクセスを稼いでいます。ここから分かる事はやはり物件のオーナー自ら物件を掲載して長文のアピールコメントを記載出来るサイトの方が面白いと思っている人が多いということではないでしょうか。

楽天やアマゾンのようなECサイトが先に生まれて、メルカリのようなCtoCのサイトが後から流行り出したように不動産サイトもSUUMOやアットホームの次に来るのは家いちばのようなCtoCなのかもしれません。

CtoCサイトは家いちばがパイオニアなのかドメインの取得年数を調べてみました。

CtoCサイトのドメイン取得年月日
■家いちば(ieichiba.com):2012年3月14日※公式サイトで家いちばのスタートは2015年と記載あり
■直談(jikadan.com):2010年10月18日
■ウチコミ(uchicomi.com):2012年02月10日
■ジモティ(jmty.jp):2011年09月15日


賃貸と売買のサイトがありますので一緒に比較するのは少々乱暴かもしれませんが、上記の通り、ほぼ2010年~2012年の間に各社はドメインを取得し早い会社はそのころからサービスをスタートさせているようです。ただ初期の頃は各サイトのアクセスはそれ程多くなかったようです。話題に上がる事も少なかったと思います。


そのような中、ヤフオクのアクセスが増えだしたのが2010年頃、メルカリが2013年7月にサービスをリリースし2015年頃からメジャーになり出しました。

そのような状況下で不動産系のCtoCサイトである直談やウチコミもアクセスを近年伸ばしているようです。


過去にヤフーとソニーが手を組んでリリースされたおうちダイレクトはリリース当初こそメリットがあまりユーザーに伝わらなかったのか話題にはなりましたが実際に利用した人は少なかったようですが、これからどうなるかはわかりません。ソフトバンクが手掛ける不動産事業はOYOやWeWork(ウィーワーク)があまり上手く行っていないので不得意なジャンルと捉えられがちですが、低価格賃貸住宅のビレッジハウスは全国賃貸住宅新聞の記事を見ると上手く行っているようです。

つまり不動産CtoCを成功させるためには不動産業界団体と上手く手を組んでやって行く事が重要ではないでしょうか。家いちばの仕組で契約時にはこの仕組みに参加したいという全国の不動産業者に仲介を任せる仕組みが出来れば、囲い込みも囮広告も無くなり日本の不動産マーケットの正常化が達成出来るのかもしれません。不動産業者もしっかり利益が得られて、一般消費者も納得のいく不動産取引が出来るのかもしれません。

その為には協会団体と提携している会社がこれをやるべきですし、一般消費者と不動産業界の双方の利益を考える企業がやるべきだと思います。


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この記事を書いた人株式会社いえらぶGROUP

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