賃貸管理

特約ってそもそもなに?

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特約の大前提とは?

特約の大前提とは?

通常の契約に加えて、特別に設ける約束事である特約。

「鍵交換費用は借主負担」、「ペットの飼育は禁止」、「楽器の演奏は不可」などといった内容はよく見るかと思います。

そんな特約について、まずは根本を学んでいきましょう。

日本では当事者間での約束は自由

日本では法律で、当事者間の約束、つまり契約は自由であるとされています。

これは民法の基本原則で、契約自由の原則と呼ばれるものです。

以下の4つの原則から成り立っています。

・締結自由の原則(契約を結ぶかどうか当事者が自由に決められる)

・相手方自由の原則(契約相手を誰にするのか自由に決められる)

・内容自由の原則(契約の中身は当事者間で自由に決められる)

・方法自由の原則(契約は当事者の合意があれば成立し、どう結ぶかは自由に決められる)

これを踏まえると、特約では貸主と借主の合意が得られるのであれば、どんなものを結んでも構わないと言えそうですが…

どんな特約が認められないのでしょうか?

公序良俗に反するものはNG!

民法の第90条では「公序良俗違反の法律行為の無効」を定めています。

公序良俗とは、「公の秩序」と「善良の風俗」のことを言います。

簡単に言えば「社会で一般的に守られている秩序を乱さず」、「社会で一般的に通用している道徳を持って」契約を結びましょうということです。

たとえば「借主は少しでも壁を汚したら罰金1000万円を支払う」といった特約は結べそうにありません。

壁を汚しただけで「1000万円の罰金を支払う」ということは不当で、社会的な秩序を乱していると言えそうです。

また、「少しでも壁を汚したら」という部分も、日常生活をしていれば起こりうる自然な劣化を認めていないところから、一般的な道徳という点で疑問を感じてしまいますね。

強行規定に反するものはNG!

また、強行規定で定められている強行規定から逸脱する特約も無効となります。

強行規定とは法令の規定のうち、当事者間で合意があるかどうかに関わらず適用されるものです。

契約が当事者同士で納得の上で結ばれたとしても、強行規定に反すると無効となります。

賃貸借契約を結ぶ際に深く関係する借地借家法には強行規定が多いと言えます。

たとえば入居期間を1年未満で結んではいけないというルールが定められており、これは強行規定だと明記されています。

この強行規定は、対等でない関係者間で結ばれる契約について、弱い立場の契約者を守るために取り決められているものになります。

借主は貸主の意思1つで住む場所を失いうる弱い立場に置かれているので、借地借家法では強行規定が多く設けられているのでしょう。

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特約を結ぶにあたって気をつけるべきことは?

特約を結ぶにあたって気をつけるべきことは?

ここまでで、特約は当事者間の合意で自由に結べますが、公序良俗を乱さず、強行規定に沿っているものでなければいけないことが分かりました。

ここからは、特約を結ぶにあたっての注意点について見ていきましょう。

法律の範囲内で定めましょう

これまでの話からもわかるように、特約は法律で規定された内容に基づくものにしましょう。

契約期間や原状回復費用に関する特約を定めるときには、借地借家法に該当する強行規定がないか、あらためて確認しましょう。

また、騒音問題などを懸念し、日常の暮らし方にまで言及するような特約を結ぶ際は、公序良俗に反していないか、再確認しましょう。

特約の文章は明確に分かりやすくしましょう

特約は、賃貸借人両者の合意がなされた上で初めて結べるものです。

両者の間で認識のズレがあった場合、退去時にトラブルになることがありえます。

そして、弱い立場にある借主の主張が認められるケースが多々あります。

事前に両者の間で齟齬が起きないよう、金額や期間などは具体的な数字を明記するなど、

契約書に記載する特約自体を分かりやすいものにしましょう。

借主にしっかりと説明しましょう

重要事項説明の際に、特約についてしっかりと説明しましょう。

特約はあくまで「特別な約束」であり、本来は必ずしも結ぶ必要がない契約とも言えます。

そういった前提条件も含めて、契約前に事前に説明しましょう。

この前提条件を話していないことが原因で、退去時にやはり特約が無効になるケースがありえます。

退居時に起こるトラブルのうち、特約が原因で起こるものは実は少なくありません。

しっかりと「両者が合意した」という状態で契約を結ぶようにしましょう。


まとめ

特約について、基本と注意点を振り返りました。

契約は当事者の合意があれば基本的には自由に結んで良いものです。

しかし、公序良俗を守り、強行規定があるものはそれに則した内容である必要があります。

また、当事者の「合意」があるというのが特約を結ぶ上での前提になります。

借主との合意を得るために、特約の文章自体を工夫し、説明を怠らないようにし、のちのちのトラブルを引き起こさないようにしましょう。

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この記事を書いた人株式会社いえらぶGROUP

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