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IT重説とは?IT重説の流れやおすすめのツールもご紹介

目次

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IT重説とは、不動産契約に関する重要事項説明を対面ではなくパソコンやスマートフォンなど電子端末を用いて行うものです。2017年10月までは宅地建物取引業法により、重要事項の説明は対面で行われていました。

契約者は遠方に住んでいても手続きのために移動せざるを得ない状況でした。しかし2017年10月からIT重説の運用が開始。加えて、2022年1月の電子帳簿保存法改正、同年5月の宅建業法改正により、今後ますますIT重説の導入が進むと予想されます。

とはいえ、対面が常識とされてきた宅地建物取引の場でのIT重説に、不安を感じる不動産仲介業者も多いのではないでしょうか。そこでIT重説による基本的な5つのステップをわかりやすく解説していきます。

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IT重説とはスマホやパソコンを使って重要事項説明をすること

コロナ禍でより重要となったIT重説

重要事項説明とは

重要事項説明とは、不動産の売買や賃借などの契約をする前に、契約に関する重要な事項を消費者に対して説明することです。不動産業界では、略して重説と言われることが多いです。重要事項説明は、宅地建物取引業法という法律によって定められており、宅地建物取引士という国家資格を持った者が行わなければなりません。重要事項説明の目的は、消費者を保護し、契約の内容を正しく理解してもらうことです。

個人が取引するものとして不動産は高額です。情報が正しくない・隠されているまま消費者が購入すると、巨大な損失を被る可能性があります。

重要事項説明は、国土交通省の「重説に関するガイドライン」に沿って説明されます。IT重説に関しては国土交通省の実施マニュアルがわかりやすく、正確な情報がつかめるのでおすすめです。

重要事項説明の主な内容は「対象となる宅地に直接関係する事項」と「取引条件に関する事項」に分けられます。

内容は下記の通りです。

<対象物件に関する事項>

・登記記録に記録された内容
・法令に基づく制限の内容
・飲用水などのインフラの整備
・状況建物の設備の整備状況
・耐震診断の内容
・石綿使用調査の内容

<取引条件に関する事項>

・賃料以外に必要な金銭
・契約の解除に関する内容
・契約期間と更新の内容
・用途その他利用の制限の内容
・敷金等の精算に関する内容
・損害賠償の予定や違約金の内容
・支払金や預かり金の保全措置
・金銭の貸借のあっせん
・管理の委託先

IT重説が導入された背景

これまでの重要事項説明では入居希望者が重要事項説明を受けるために、遠く離れた宅建業者を訪問する必要がありました。そのため、入居者にとっては移動にかかる時間や交通費が負担になっていました。

2017年の法改正により、賃貸契約においてパソコンやスマホなどでの「ITを活用した重要事項説明」、IT重説が認められるようになりました。これにより、現在は双方でコミュニケーションが取れる状態であればネットを介して重説できるようになっています。

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IT重説は売買取引でも利用可能

2017年の改正は賃貸契約を対象としたものでしたが、2021年4月以降は売買契約においてもIT重説が認められることになりました。現在では不動産取引全般でIT重説が運用可能となっています。

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IT重説対応物件について

 IT重説の導入で期待できる3つの効果

IT重説対応物件とは、IT重説ができる物件のことを指します。「IT重説を行うためにクリアしなければならない物件の条件」はありません。しかし、「物件を問い合わせた仲介会社がIT重説に対応していない」場合はIT重説を受けることができないため、対面での重説が必要になります。

遠方から物件を探している人にとっては、IT重説に対応している仲介会社の方が便利です。そのため、仲介会社としてはIT重説に対応できる状況を整えておく必要があります。

IT重説の導入で期待できる3つの効果

【5ステップ】IT重説を導入する際の流れ

遠方のお客様・多忙なお客様へも重説が可能になる

IT重説導入メリットの一つ目は、遠方の方や多忙な方でも重説の対応を柔軟にできることです。

IT重説は、通信回線とテレビ通話ができる端末があれば、顧客が急用で外出してしまった場合も実施できます。

したがって場所や時間にとらわれることなく重説を実施可能です。顧客との日程調整も容易です。また、遠方の方に来店してもらう必要がなくなり、顧客側の負担軽減も見込めます。

業務の効率化につながる

IT重説導入は、不動産会社の業務効率化を図る面でもメリットがあります。重説のために、必ずしも顧客と対面する必要がなくなるためです。

重要事項等説明書を事前に送ることで、顧客はIT重説の前に内容を確認できます。これにより、説明や質問のやりとりがスピーディーになり、重説にかかる時間を短くでき、仕事の効率が上がります。

さらに、顧客の時間やお金の負担も減らすことで顧客の満足度が高まり、契約に至る確率が高くなります。契約率が高くなることで仕事の流れがスムーズになり、物件の紹介や重説にかかる工数・人件費も削減できるでしょう。

また、VR技術を用いたVR内見も同時に導入すれば、内見から契約までの期間も短縮できます。

トラブル発生のリスクが低下する

IT重説は端末を通して行うため、録画や録音が可能です。録画や録音はトラブル発生時の対応に活用できます。退去時のもめごとなどのリスクを減らせます。

しかし、情報の取り扱いには注意が必要です。IT重説の録画や録音は重要な証拠となる一方、録画や録音の内容に個人情報が含まれる可能性があります。国土交通省の「賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル概要」をもとに適切な対応が必要です。

まず、個人情報保護の法律に則った個人情報の管理が求められます。また、録音や録画をする際は双方の合意があることが前提です。

録画や録音の際は利用目的を明らかにし、不適切と思われる情報があれば状況によって録画を停止・再開します。顧客から求められれば録画や録音の複製を提供できるようにしておきましょう。

賃貸契約をオンラインでおこなうことの特徴や方法について、以下の記事で解説しています。賃貸契約のオンライン化を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

ITシステムを導入して賃貸契約をオンラインで完結するには?

IT重説の導入のデメリット

中断することがある

IT重説はインターネット回線を利用するため、通信トラブルが発生する可能性があります。画面がフリーズしたり、音声が途切れると、お客様の信頼や満足度が低下する恐れもあるでしょう。

カメラオフは不可

IT重説は双方向で音声と映像のやりとりができることが条件となっているため、原則としてお互いにカメラはオンの状態にしておかなければなりません。これは、相手方の反応や理解度を確認したり、身元確認を行ったりするために必要です。しかし、カメラオンに抵抗を感じるお客様もいるかもしれません。また、カメラオンにすることでプライバシーの問題も生じる可能性があります。

内容を軽視される可能性がある

 

IT重説は自宅や職場などで行えるため、お客様にとっては手軽で便利な方法です。しかし、その反面、重要事項説明の内容を軽視してしまう可能性もあります。 例えば、他の用事をしながら聞いていたり、集中力が低下していたり、内容を十分に理解していなかったりすることがあります。このような場合、契約後にトラブルやクレームが発生するリスクがあるでしょう。

IT重説を行う前の事前準備とは

IT重説を行うために下記の準備をしておきましょう。

売主・貸主からIT重説の同意を得る

IT重説の実施における最も重要な準備です。IT重説は対面での重要事項説明と同等の効力を持ちますが、契約当事者の一方でもIT重説に同意しない場合は対面での重要事項説明を行わなければなりません。

双方向でやりとりできるIT環境

対面での説明と同様に質疑応答ができる双方向性のあるIT環境が必要です。ビデオチャットなどのアプリやサービスを利用することができます。画面やカメラ、マイクなどの機器も必要です。IT環境は、事前に確認しておくことが望ましいです。

重要事項説明書等の事前送付

IT重説を行う前に、重要事項説明書やその他の資料(重要事項説明書等)を相手方に送付する必要があります。これは、郵送やFAXなどの方法で行うことができますが、現在は電子書面でも可能です。

説明開始前に相手方の重要事項説明書等の準備とIT環境の確認

IT重説を行う際には、登録事業者と相手方の手元に重要事項説明書等がある状態で実施する必要があります。 また、IT環境が正常に動作することも確認する必要があります。説明の開始前に、相手方の重要事項説明書等の準備とIT環境を確認することが望ましいです。

宅地建物取引士証を相手方が視認できたことの画面上での確認

IT重説は、宅地建物取引士の免許を持つ人しか行えません。そのため、宅地建物取引士証を相手方に提示する必要があります。説明の開始前に、相手方が宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認することが必要です。

5ステップIT重説を行う際の流れ

ステップ1. 顧客からIT重説への同意を得る 重要事項説明書が届いているか確認

顧客によっては対面での説明や契約を希望する方もいるので、まずは顧客からIT重説の同意を得ることが重要です。

IT重説に対する意向確認や同意取得について、同意を得たという証拠が残るのであれば具体的な方法について問われません。メールやLINEなど身近なコミュニケーションツールを利用すると便利でしょう。

そして、重要事項説明書が相手に届いているかも事前に確認しておきましょう。当日になって、相手に重要事項説明書が遅れていなかった場合、IT重説を行うことができないため要注意です。

ステップ2.顧客の通信環境を確認する

IT重説を実施するためには、オンラインによるやり取りで不具合を生じないか、自社と顧客の双方でネット環境を確認しておくことが大切です。

まずは、テレビ電話やテレビ会議に対応するアプリのダウンロード、カメラやスピーカー機能の状態について、事前に顧客に確認しておきましょう。スマートフォンの映像は小さく見えづらいことも考えられます。顧客にはPCやタブレットを用意してもらいましょう。

また、常時安定したインターネット接続環境の準備も重要です。接続環境が悪いと、映像や音声が途切れてしまうなど、重要な説明を聞き取ってもらえないおそれがあります。

IT重説には不動産取引に関わる個人情報も含まれます。セキュリティ面を配慮するのはもちろん、フリーWi-Fiスポットは避けるなど、顧客にも注意を促してください。

ステップ3.接続テストを行う

お互いのネット環境を確認できたら、日時を決めて事前にテスト通信を行います。

画面を通じて、宅地建物取引士証や書面をはっきりと読み取れるか、音声はクリアかなど、オンライン上のやり取りに不都合がないかチェックします。

顧客がスマートフォンを使う場合、携帯電話会社との契約によって、一定の通信量を超えると通信スピードが急激に落ちる場合があります。テレビ電話は想定以上の通信量になる場合もあるので、事前にデータ容量を確認しておくと安心です。

ステップ4.IT重説に必要な電子書面を共有する

IT重説の実施日が決まったら、顧客と重要事項説明書などの必要書面を共有します。

IT重説が社会的に取り入れられるようになってからも、紙の書面の受け渡しが必須でした。しかし法改正によって2022年5月からは電子書面による共有が可能になりました。

ただし、紙面による交付とは異なり、電子書面では改ざんを疑われることがないような措置を施す必要があります。

そのため、電子契約ツールを用いて、改ざん不可能な電子署名を施しましょう。電子署名は紙文書の印鑑や自署にあたります。IT重説で電子交付する際、電子署名で正式な書類と証明したうえで、交付するようにしてください。

不動産契約に関わる書類はどれも重要です。業者・顧客ともに紙面で出力できる解像度のデータを用意しましょう。電子書面の共有は、電子メールへ添付、特定のWebページからダウンロード、USBメモリやSDカードによる交付などがあります。

重要事項説明書などの書類は、IT重説実施までに顧客が手にしなければなりません。顧客が電子書面を手にしているか、データにエラーが発生していないかなど、遅くとも前日までに確認しましょう。

ステップ5.IT重説を実施する

オンライン手続きに適した環境、必要書類の共有などの準備が終われば、IT重説を実施します。対面かオンラインか違いはありますが、IT重説で行うことは従来の重説と変わりません。

はじめに宅地建物取引士証を提示し、映像から問題なく確認できるか、顧客に確認してもらいます。確認の有無がトラブルの元とならないよう、顧客に口頭で読み上げてもらうのもおすすめです。

一方で、説明を受ける相手が契約者であることを確認することも重要です。面識がほとんどなければ、運転免許証など顔写真付きの本人確認書類を提示してもらいます。

映像や音声に乱れが生じた場合は、宅地建物取引業法に則り中断しましょう。

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IT重説を導入する際のポイント

IT重説によるトラブルを回避し、安定した運用を図るにはどのような点に注意すればよいでしょうか。IT重説を導入する際のポイントを3つ紹介します。

安定性の高いネットワーク環境を整える

IT重説はオンライン上でのやり取りです。Wi-Fi環境が整ってなければ、重説中に画面がフリーズしたり、音声が乱れたりすることもあるかもしれません。そうなると、重説は一度中断しなければなりません。

フリーWi-Fiの使用は、個人情報漏洩のリスクがあるため避けましょう。ネットワーク環境の配慮は、事業者側だけができていても意味がありません。顧客側への事前アナウンスも忘れず行いましょう。

きめ細かなコミュニケーションを徹底する

オンラインでのやり取りは、顧客の反応をキャッチしにくい部分があります。対面とは違い顧客の状況を肌で感じられず、内容の理解度を把握しづらくなるためです。

またIT重説は手軽なこともあって、場合によっては顧客に軽視されてしまい、重要な部分が伝わらないこともあります。聞き逃しや理解不足の部分があると、後々トラブルに発展することもあるので注意が必要です。

このようなIT重説で陥りやすいトラブルを防ぐためには、顧客とのコミュニケーションを徹底することが大切です。説明した内容を理解してもらえているか、小まめに確認しながら重説を進めましょう。

オンライン会議ツールについて共有する

IT重説で使用するアプリやシステムについては、事前に顧客へ伝えましょう。IT重説は、幅広い業種で使用される認知度の高いツールのほか、不動産会社独自のアプリやシステムを利用することもあります。

そしてオンライン会議ツールの中には、顧客側でインストール作業が必要なものもあります。普段使用しないアプリやシステムのインストールに抵抗感を感じる方もいるでしょう。

安心して利用してもらうためにも、事前にアプリやシステムのアナウンスは大切です。

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IT重説に適したツール2選

IT重説のためには、オンライン会議ツールの導入が必要です。しかし、何でもよいわけではありません。スムーズな導入や安定した運用のためには、適したツールを選択することが大切です。

おすすめのツールとして、Live OnとV-CUBEミーティングの2つを紹介します。

そのほか、IT重説に活用できるツールについて以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

IT重説に使えるソフト・アプリは?無料でできる方法も紹介

Live On

Live Onは、ジャパンメディアシステムが運営するオンライン会議ツールです。

シンプルでわかりやすい操作性に加え、遅延や途切れが少なく快適な映像や音声を提供するなどクオリティの高さが支持されています。スムーズかつクリアなやり取りが必要となるIT重説との相性が高いツールといえるでしょう。

また、セキュリティにも力を入れており、省庁や大学、銀行などでも採用実績があります。国内企業によって開発・運営されているためサポートが手厚いのも魅力です。

V-CUBE ミーティング

オンライン会議ツールで高い業界シェア率を誇るのが、V-CUBEミーティングです。

事前設定なくクリックひとつでオンライン会議を始められるなど、直感的な操作が可能で、ITツールに慣れていない方でも使いやすいのが大きなメリットです。24時間365日対応のフォロー体制も好評です。

V-CUBE ミーティングは多くの業種・企業と連携しています。不動産会社の日常業務をフォローするクラウドサービス「いえらぶCLOUD」とも連携しており、IT重説のほか、オンライン内見などに対応するWEB接客機能を提供しています。

遠方のお客様の来店負担、多忙なお客様の日程調整、宅地建物取引士の店舗間移動など、不動産業務にかかる負担を軽減します。また、IT重説によって契約までの時間を短縮化でき、業務効率化につながります。加えて、「いえらぶサイン」を活用すれば、セキュリティ性能が高く不動産業務に適した電子契約も可能です。

まとめ

IT重説は、従来の対面からオンラインへと変わるだけで、導入のハードルが高いわけではありません。ただし、オンラインでのやり取りに適した環境やツールを準備する必要があります。

IT重説はもちろん、Web接客や電子契約まで対応する「いえらぶCLOUD」は、不動産業務に特化しています。紙とハンコを電子データで代用し、契約に関するやり取りをオンライン上で完結できるので、これまでの労力や負担を大きく軽減できます。

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いえらぶCLOUD紹介資料

株式会社いえらぶGROUP

この記事を書いた人株式会社いえらぶGROUP

いえらぶGROUPは、住業界にイノベーションを起こし、誰もが安心して住まい選びができること「いい家、選ぶ」を実現します。

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