【全賃連載】需要高まる多言語対応
不動産DXで実現する「顧客ファースト」第9回
当社常務庭山が全国賃貸住宅新聞に寄稿している連載記事です。
提供元: 全国賃貸住宅新聞社
外国人人口300万人超
国内の日本人人口は今年、過去最大の減少率を叩き出した。総務省が7月に発表した、住民基本台帳に基づく人口動態調査によれば昨年から約86万人減少しているという。この「穴」を埋めつつあるのが、日本在住の外国人の存在だ。外国人人口は過去最多の332万3374人となり、初めて300万人を超えた。外国人増加は都心に限った話ではなく、全ての都道府県で増加している状況だ。今以上に売上拡大を目指すなら、外国人対応は避けて通れない。
一方で、法務省が発表した調査によれば、39.8%の外国人が「外国籍を理由に入居を断られた」と回答している。また、「日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた」という回答は41.2%だった。不動産会社やオーナーの立場に立てば、言語や文化の違いから積極的な受け入れに不安を覚えることも頷ける。
そこで今回は、外国人対応を円滑にする手法をいくつか紹介する。
1つ目は外国人に対応している家賃保証会社の活用がある。滞納家賃の保証だけでなく、契約時や入居中の多言語でのサポートを受けることができる。こういった外国人の言語対応サポートを行っている家賃保証会社は、国土交通省のホームページで紹介されているので参照してみてほしい。
2つ目はIT重説の活用だ。当然、契約者が国外にいる場合にも有効だが、実はそれだけではない。
「宅建士の専任性の考え方」が見直され、2024年4月1日より専任の宅建士が他の事務所の業務を行えるようになった。これは主にIT重説などの、オンライン対応を想定している。この見直しにより、多言語対応可能な宅建士が、他店舗の外国人のお客様にもIT重説で対応が可能になった。多店舗展開を行っている場合は、外国人の多いエリアに多言語対応可能な宅建士を配置し、オンラインで他店舗業務も手伝えるよう業務フローを整えるのがおすすめだ。
他にも、例えば電気・ガス・水道といったライフライン手続きやインターネット利用においても、各種設定、支払い、解約などで日本語が母語でない人にとっては難しい点がある。
一番はやはり社内で対応可能なスタッフを置くことだが、それが難しい場合はライフラインの手続きサポートを代行するサービスもある。中には、紹介した外国人顧客が、推奨のライフライン・インターネット商品を契約すると、紹介料が不動産会社に支払われる取次サービスもあるため、積極的に取り入れてみてほしい。
これらの対策を導入することで、外国人入居者にとっての住まい探しのハードルが下がり、不動産会社・オーナーにとっても顧客層が広がることが期待される。今後の市場競争で生き残るためにも、外国人対応の強化に取り組むことが重要だ。
いえらぶGROUP 共同創業者・常務取締役 庭山健一
マンションデベロッパーでの経験を生かして、2008年にいえらぶGROUPを設立。不動産業務支援システム事業、受託開発事業など営業人を統率。14年に常務取締役に就任。
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