【全賃連載】価値を生むのは人、DXで支援
不動産DXで実現する「顧客ファースト」第12回
当社常務庭山が全国賃貸住宅新聞に寄稿している連載記事です。
提供元: https://www.zenchin.com/news/content-3322.php
価値を生むのは人、DXで支援
本連載もついに1年を迎えた。不動産業界におけるDX推進のヒントを紹介してきたが、今回はそれらを振り返りつつ、DXの本質についてお話したい。
これまでに紹介したDXの手法は多岐にわたる。たとえば、来店率を上げるためのLINE運用や、初心者でも取り組みやすいInstagramの活用、電子契約や外国人対応を円滑にするIT重説の導入などだ。これらのツールは、顧客へより良いサービスを提供するための強力な手段となり得る。実際、多くの不動産会社が導入し、顧客対応や日常業務を行っている。
ここで気づいた読者もいるだろう。顧客ファーストを追求しようとすると、複数のITツールを駆使せざるを得ない状況にあるということだ。その結果、新たな課題も浮き彫りになってきた。それが「DX疲れ」である。本紙で取り上げられた調査によれば、DXに取り組む不動産会社の約3割が、複数のシステムを使い分けることの難しさやシステム間の連携不足による不便さを理由に、推進意欲の減退を感じている。そもそも推進していない企業も、こうした状況に陥るのを懸念しているという側面もあるだろう。ツールの導入自体は容易になり、個別の機能は便利である一方、運用が煩雑になり疲弊している現場も少なくない。
しかし忘れてはならないのは、「ツールはあくまでも手段」ということだ。DXの目的はツールを導入することではなく、顧客サービスを向上させることにある。最新の技術や便利なシステムを取り入れることは重要だが、最終的に顧客が満足できるかは、スタッフが提供する接客そのものにかかっている。つまり、ツールでは代替できない「人の力」を通じて、顧客と信頼関係を築くことこそが不動産会社の本業である。
この前提に立てば、ツールの活用方法も明確になる。たとえば、複数システムでの煩雑な運用から脱却するため、オールインワンシステムに切り替える不動産会社も増えている。業務を一元管理できるようになれば、複数のシステムを触る手間・時間が減り、顧客に向き合う時間が増えるためだ。また、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)と組み合わせた活用も効果的だ。入力作業といった定型業務を外部委託し、スタッフは本来集中すべき営業活動やオーナーとの関係性づくりに専念できる。
結局のところ、DXとは顧客視点に立った業務の再構築だ。その実現のための手段としてツールがある。最終的な価値を生み出すのは現場で働く人々であり、顧客とのコミュニケーションを中心に据えた業務体制を確立することが、企業の成長に繋がっていく。不動産業界が今後も顧客に寄り添いながら着実な発展を遂げるために、我々IT企業も最善を尽くしていきたい。
いえらぶGROUP 共同創業者・常務取締役 庭山健一
マンションデベロッパーでの経験を生かして、2008年にいえらぶGROUPを設立。不動産業務支援システム事業、受託開発事業など営業人を統率。14年に常務取締役に就任。
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