【全賃連載】BPO活用で描く企業成長
不動産DXで実現する「顧客ファースト」第7回
当社常務庭山が全国賃貸住宅新聞に寄稿している連載記事です。
提供元: 全国賃貸住宅新聞社
部分業務を外注
「サグラダ・ファミリア(聖家族教会)の工事はゆっくり進むんだ。私のクライアントは別に急いでないからね。」建築家のアントニオ・ガウディはこう語った。
そのサグラダ・ファミリアは2034年に完成する。構造計算には3Dキャドや構造解析ソフト、石柱の製作にも3D加工機と、最新技術を取り入れて効率を高め、2200年頃と想定されていた完成は大幅に早まった。
サグラダ・ファミリアと同じことが賃貸管理業界で起きている。実は近年、賃貸管理会社の業務を切り分けて代行するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)で業務を効率化する会社が増えている。目の前の業務を削減するという短期的な成果だけでなく、企業の長期的な成長に寄与するのがポイントだ。
社員が事務仕事に忙殺されるなか「本当はオーナーや顧客への対応といったコア業務に集中してほしい」と考えている賃貸管理会社も多いだろう。しかし事務仕事とは言え、頻繁な法改正、情報量の多いシステム、さらに会社ごとのルールを把握する必要があり業務は非常に複雑だ。それを理由に事務仕事も自社でやるしかないと考える会社も多い。加えて賃貸管理業界では閑散期に合わせた人員体制を敷く会社も多く、繁忙期には慢性的なハードワークが続き離職も後を絶たない。
しかし、賃貸管理業務に特化したBPOの出現により常識が変わりつつある。
実際にBPOでどのように効率化を進めるか見ていこう。
BPO会社が賃貸管理会社の相談を受けると、業界経験豊富なBPOコンサルタントが業務を切り分けマニュアルを整備し、業務ごとにBPOスタッフに振り分ける。導入の過程で業務の標準化やマニュアル整備が進むので新人教育のスピードも上がる。リーシング業務をマスターするまでの期間を半分以下に短縮できたという話も聞く。
また、コア業務に集中できるため、顧客満足度が高まり、管理戸数が増加し、自社ブランドの価値も向上する。
2人で900戸管理も
実際に成果を上げている事例を紹介しよう。
管理戸数約8000戸の会社では、契約に関わる書類作業だけでなくシステム運用も一貫して委託し、過去最高の売上を記録した。オーナー・顧客対応、新規オーナー開拓といったコア業務に集中できるようになり、従業員とアルバイトのたった2名で900戸を管理している会社もある。業務の標準化によりスタッフの退職時にノウハウが失われることはないし、そもそも離職率が大きく下がった会社も多い。
「人材が足りないから業務効率化システムを導入する余裕がない」、不動産会社からそんな声を伺うことがある。しかしBPOならシステムの導入から運用まで、すべて任せることも可能だ。
不動産管理業務を切り分けて外部に依頼する、そんな選択肢はこれまで思いつかなかった。しかし世の中には次々と新しいツールが増えている。不動産業界の業務効率化も、サグラダ・ファミリアのように想定以上に早く完了するかもしれない。
いえらぶGROUP 共同創業者・常務取締役 庭山健一
マンションデベロッパーでの経験を生かして、2008年にいえらぶGROUPを設立。不動産業務支援システム事業、受託開発事業など営業人を統率。14年に常務取締役に就任。
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