【全賃連載】電子契約、「満足」の回答8割超
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不動産DXで実現する「顧客ファースト」第5回
当社常務庭山が全国賃貸住宅新聞に寄稿している連載記事です。
提供元: 全国賃貸住宅新聞社
三方良しの理念
令和になって「三方良し」という言葉を耳にすることが増えた。「三方良し」とは近江商人の商売の基本理念だ。売り手・買い手・世間(社会全体)の3者すべてにとって、いい行いを大切にする。企業の社会的責任(CSR)が重視されるようになり、この「三方良し」の思想があらためて注目を集めている。不動産業界においても、「三方良し」を実現するサービスが登場してきた。その一つが「電子契約」だ。
まずは「売り手良し」。2023年5月に当社が実施した調査では、電子契約を利用したことがある不動産会社の80%以上が「電子契約に満足している」と回答した。特に契約締結までの期間短縮と、更新漏れの削減に効果を感じる会社が多い。
2024年1月から3月に電子契約サービス「いえらぶサイン」を利用した更新手続きでは、36%が即日、50%以上が翌日には契約を完了し、98%が期限内に契約を完了していた。
書面の郵送による更新手続きでは、契約完了まで平均37.5日かかっており、電子契約で大幅に期間を短縮できることがわかる。また、従来の書面による管理では更新確認が漏れたり、期限内に更新意思を確認できないことがあった。
しかし電子契約システムを使えば、更新意思の確認通知を契約満了日2カ月前などに自動配信する設定ができ、確認漏れを防ぐことができる。
次に「買い手良し」。当社による電子契約の調査では、電子契約を使ったことがあるエンドユーザーの96%は便利だったと回答している。契約のための来店や郵送といった手間が省けるのは大きなメリットの一つだ。
また、売買取引の際には数万円分の印紙税の節約にもなる。印紙税は、2027年3月までの軽減措置により最大で半額になるが、電子契約であれば収入印紙は必要ない。
最後に「世間良し」。電子契約はテレワークを可能にし、書類作成・郵送といったアナログな作業を軽減するため、働き方改革につながる。紙を使わないから地球環境にも良い。
契約更新から導入
さて、評判のよい電子契約だが「何から電子契約に切り替えたらいいか分からない」という声も聞く。更新業務があるエリアなら、そこから始めるのがお勧めだ。更新業務は宅建業法の適用外であり、仲介会社を挟まないため進めやすい。
実際に当社の電子契約システムを使っている会社のうち、4割ほどは更新のみで利用している。
新規契約では、自社付けから始めるのがよいだろう。自社の仲介部門と連携し、フローやマニュアルを整えておくと、他社付けで始める準備ができる。他社付けでの電子契約導入にあたり、仲介会社の反応を懸念する方もいる。しかし「思い切って他社付けをウェブ申込み・電子契約のみに切り替えたら案外うまくいった」「郵送の手間だけではなく問い合わせの電話も減って助かった」と話す管理会社の方も増えている。
私も最初はネットでチケットなどを買うのは怖かった記憶がある。しかし今やチケット売り場に並ぶことはない。「紙の契約書」が過去のものとして語られる日も遠くない。
いえらぶGROUP 共同創業者・常務取締役 庭山健一
マンションデベロッパーでの経験を生かして、2008年にいえらぶGROUPを設立。不動産業務支援システム事業、受託開発事業など営業人を統率。14年に常務取締役に就任。
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