【不動産会社向け】IT重説のデメリットとは。非対面取引を成功させるコツ
目次
IT重説とは、PCやスマートフォンをもちいて、不動産契約に関する重要事項説明を行うことです。以前までは宅地建物取引業法に準じて対面で重要事項説明をしていましたが、2017年の法改正により、IT重説の運用が開始されました。今後も不動産業界ではIT重説の導入が進むと予想されます。
IT重説は対面で説明する必要がなくなるため、契約者も不動産会社側も効率化が図れます。とはいえ、非対面ならではのトラブルも存在するので、メリットだけではなくデメリットも考慮する必要があります。
そこで今回は、IT重説を導入するにあたり、知っておきたいデメリットや注意点などを解説します。
IT重説のデメリットとは?
顧客とのトラブルを防ぐためには、次のようなデメリットを考慮するのが大切です。
デメリット1.ITツールの導入が必要になる
デメリット2.安定した通信環境が必要になる
デメリット3.静かな部屋が必要になる
デメリット4.相手の反応が分かりづらくなる
デメリット5.軽視されない工夫が必要になる
この項目では、それぞれを詳しく解説します。IT重説の導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
ITツールを導入しなければならない
IT重説を実施するには、まずPCやタブレット端末などの用意が必要です。また、デバイスだけではなくオンライン会議ツールも導入する必要があります。ITツールの導入は難しくないものの、利用料や初期費用が発生します。
また、普段から電子機器やクラウド型のツールを利用する機会がない方にとっては負担を感じる可能性が高いです。特にオンライン会議ツールは多岐にわたるので、選定に時間を要するケースもあります。
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安定した通信環境が必要である
インターネットの通信環境が悪いと画面や音声が乱れてしまい、重要事項説明の妨げになってしまいます。通信状況が悪い状態で作業を進めることや接続状態を何度も確認することは、顧客に不信感を与えます。そのため、IT重説の始まりから終わりまで安定した通信環境を保てるように、事前に準備しておくことが重要です。
また、会社だけでなく、顧客側の通信環境も整えてもらう必要があります。通信トラブルがたびたび起こるようであれば、IT重説を中止せざるを得ない場合もあるでしょう。
IT重説を始めるときは、事前に顧客に周知しておくと、通信環境に配慮してもらえることがあります。
静かな部屋が必要になる
不動産会社は電話や来店客で混み合うことも多く、雑音から離れるのは難しいでしょう。周囲が騒がしければ、顧客が重要な説明を聞き逃すおそれがあります。そのため、IT重説に適した部屋や空間を用意することが必要です。
また、できるだけ静かにやり取りできる環境でIT重説を実施できるよう、顧客側に事前に注意喚起しておくことも重要です。
相手の反応がわかりづらい
IT重説は画面越しのコミュニケーションになるため、対面時と比べて表情の変化に気付きにくいです。そのため、これまで相手の反応を確かめながら重説を行ってきた方からするとデメリットに感じることもあるでしょう。
相手が説明を理解しているか確認することは必要な工程です。なぜなら、重要事項説明の理解が不十分だったり思い違いが発生し、トラブルに発展するおそれがあるためです。
手軽にできるため内容を軽視されてしまう
オンライン化して手軽になることでIT重説そのものを顧客に軽視されてしまうおそれがあります。また、顧客の集中力が欠けてしまい、聞き漏らしが発生しやすくなる可能性も考えられます。
IT重説のデメリットを打開する3つの方法!
これまでIT重説におけるデメリットを説明してきました。このようなデメリットを回避するためにも打開策を思案しておく必要があります。ここでは、IT重説を円滑に進めるための方法を紹介します。
1.性能のよい機器や回線を準備しておく
IT重説を行うためにはインターネット環境の整備が必要です。不動産会社の方は、あらかじめPCに不具合がないか確認しましょう。また、IT重説を導入する前に既存の回線で十分にオンライン会議が可能か確認しましょう。
通信トラブルが起こると不手際な印象を与えてしまい、顧客からの信頼を失うリスクがあります。通信機器や回線の整備にかかる初期費用が気になるようであれば、レンタルでコストダウンを図るのもおすすめです。
また、IT重説を行うのであれば顧客側の通信環境の整備も必要です。顧客自身が「問題ない」と判断しても、地域によって通信環境は異なります。もし顧客側の通信状況に不安があれば、顧客に設備をレンタルするなど対策しましょう。
どうしても顧客側の通信環境が整わない場合は、IT重説を取りやめて対面で行うなど柔軟な対応を心がけることが大切です。
2.集中できる環境を整える
IT重説の説明は、PCやタブレット機器のマイクやスピーカーから音声のやり取りが行われます。最近のITツールは性能が高い分、より広範囲の音を鮮明にキャッチします。
そのため、ほかの社員が居合わせない空間や遮音性が高い環境を整えましょう。会議室がない場合は、静かにしてもらうなどの注意喚起を行うことが必要です。
3.顧客とのコミュニケーションを十分に取る
オンラインでのやり取りは時間や負担を減らす便利な手段ともいえますが、顧客とのコミュニケーション不足が問題視されます。連絡を密に取り合って、意識的に信頼関係を築くようにしましょう。
また、必要書類の到着日や返送日、手付金の支払予定日など、契約に関わる事項は伝えるだけではなく顧客が理解していることも確認しましょう。
IT重説中は、相手の反応をこまめに確認したり、口頭で理解度を確認したりするなど、対面よりも丁寧に説明することも重要です。逐一、不明点や疑問点がないか、質問を受けるのもおすすめです。
IT重説を実施するうえで注意したいこと
IT重説を実施するには、いくつかの要件があります。そこで、IT重説を行うときに気を付けておきたい主な注意点を2つ解説します。
必要な書類を漏れがないように事前に送付する
IT重説の実施中、顧客は手元の「重要事項説明書」を見ながら説明を受けることになります。そのため、IT重説の前日までに届くように説明書や必要な書類を送付しておきましょう。
重要事項説明書は、宅地建物取引士の記名押印のある原本となります。また、2部を送付して、IT重説のあと、1部を返送してもらいましょう。
また、2022年5月の法改正により不動産取引の電子化が認められました。従来は書面で交付が必要でしたが、改正法の実施により電子契約が認められるようになっています。
IT重説の詳しいやり方や流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。IT重説のやり方顧客同意の取得から鍵の引き渡しまで5つのステップを紹介
遵守事項だけでなく留意事項も確認する
重要事項説明書などの書面を電子化した契約を可能とする法改正ですが、電子契約については、次の2つの要件を満たす必要があります。
・顧客側で書面化できるものである
・電子書面が改変されていないか確認できる措置が講じられている
遵守事項に準じた完全電子化に対応するには、電子署名とタイムスタンプを備え、紙の出力にも対応するシステムやサービスを導入しておくとよいでしょう。
遵守事項のほか、説明内容に承諾したあとも顧客の意向変更が可能なことなど、国土交通省の求める留意事項にも目を通しておくと安心です。
出典:国土交通省「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」
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これから普及が進むと予測される不動産の電子契約に合わせて、不動産会社のための電子契約サービスも用意されています。重要事項説明書など、これまで契約に必要だった書面と印鑑を電子化できるため、オンラインで不動産取引を完結できます。
まとめ
IT重説は、これまで対面必須だった不動産取引のオンライン化を実現し、不動産会社・顧客の双方にさまざまなメリットをもたらします。一方で、非対面であるがゆえに生じるIT重説のデメリットを回避する必要もあります。特に、重要事項説明書の電子書面については、法のルールに準じた取引となるように気を付けましょう。
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