不動産業界の働き方改革って?課題や解決方法・補助金制度を解説
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働き方改革が進められるなか、不動産業界では人手不足や長時間労働が慣例となるなど、現状はまだまだ改善の必要性が大きいといえます。しかし、テレワークやアウトソーシングの難しい不動産業界において、働き方を変えるにはどのような方法があるのでしょうか。
今回は、不動産業界の働き方の現状と課題、改善のヒントを解説します。
不動産業界の働き方の現状
そもそも働き方改革とは2019年に厚生労働省が提言したものです。それぞれの事情や環境に合わせた多様で柔軟な働き方を推進することで、少子高齢化が進む日本で「一億総活躍社会」の実現を目指す改革となっています。
各業界がさまざまな取り組みで実現に向けて動いていますが、とりわけ不動産業界は働き方改革が遅れているとされています。
不動産業界が遅れているとされる原因はいくつかありますが、不動産取引は対面による内見や重要事項説明、書面の保管義務などからデジタル化が遅れていたこともあり、原因のひとつとされています。
ここ数年でIT重説の導入、電子契約の解禁などでデジタル化は一気に進みましたが、それだけで働き方改革が大きく前進したわけではないようです。
それでは、不動産業界の働き方について現状を解説します。
労働時間が長い
株式会社パーソル総合研究所が2018年に公表したデータによると、業界別では不動産業界の残業時間はワースト4位で、月30時間以上の残業割合は約32%にのぼります(※1)。残業代が適切に支払われないサービス残業だけに特化すると、業界別でワースト2位になっています(※2)。
このデータから、不動産業界では長時間労働やサービス残業が常態化していることが想像されます。
従業員への負担が大きい多大な残業は強いストレスや過労死といった深刻な問題につながるほか、働く意欲や幸福度を下げます。そのため、不動産業界は離職率が高く、慢性的に人材不足に悩まされているのが現状のようです。
※1参照元:パーソル総合研究所×東京大学 中原淳准教授「希望の残業学プロジェクト」
※2参照元:センサー(2018年4月号)「『希望の残業学』プロジェクトより」
テレワークが導入されていない
育児や介護などさまざまな事情により、毎日の通勤が困難な方は珍しくありません。その解決策としてテレワークの普及が進められています。実際、総務省「令和2年通信利用動向調査報告書」によると、導入済みの企業は全体の47.4%と大きく増えています。
対面による営業と契約が必須だった不動産業界では、テレワークがなかなか浸透せず、令和元年までは導入率わずか25.4%でした。しかし、令和2年の調査結果では68.1%と大きく上昇し、業界別で2位という飛躍を遂げています。
これはIT重説やWeb内見など、日常業務おけるオンライン化が要因と考えられます。ただし、在宅勤務ではなく、オフィス内外でのモバイルワークをテレワークとしている可能性もあり、実際の働きやすさにつながっているかどうかは不透明です。
※参照元:総務省「令和2年 通信利用動向調査報告書(企業編)」
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法改正によっても不動産の働き方が変化しつつある
働き方改革を推進するために、国による法整備が進められています。そして、これまでは働き方を変えるための指標となってきた法律も、働き方改革が浸透してきた今となっては、違反したら罰則を受けることを念頭に遵守する意識が重要です。
それでは、不動産業界における働き方に影響を与える法律や法改正について詳しく説明します。
働き方改革関連法の改正
2019年4月より施行された働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)は、労働基準法や労働安全衛生法など、働き方に関連する法律を改正するものです。
従業員を雇用する立場や指導する役職についているのであれば、法改正の内容を把握し、不動産業界に関わるものであれば適切に対応していきます。
わかりやすい改正が時間外労働の上限規制です。時間外労働について、2020年4月から月あたり100時間未満、年あたり720時間未満という上限が設けられています(年6回のみ特例対応可)。違反すれば6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を受けることになります。
また、有給休暇は取得が義務づけられました。具体的には年休10日以上を付与されている場合、付与日から1年以内に5日以上の取得となっています。違反者には罰金30万円が適用されます。
そのほか、以下の3点なども注目です。
・前日に遅くまで働いた従業員に対して翌日の始業時間まで一定期間のインターバルを設ける
・同一労働・同一賃金の定めから正規雇用と非正規雇用とのあいだの待遇差を解消する
・月60時間超の時間外労働における割増賃金率の引き上げ(2023年4月1日から)
デジタル改革関連法案の成立
2021年5月に可決・成立したデジタル改革関連法案とは、官民で社会のデジタル化を推進することで、国民の利便性向上を目的としたものです。特にマイナンバーカードの発行で注目を集めた法案ですが、不動産業界にも大きな影響を与えています。
それは2022年5月からの宅地建物取引業法の改正です。この法改正により、従来は対面のみだった不動産取引で契約書面の電子化が可能となりました。
書面の電子化については、2021年3月よりIT重説(重要事項説明のオンライン化)がすでに始まっていますが、今回の改正により、契約締結や媒介契約締結の書面もオンライン取引の対象となります。電子契約については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。不動産取引の電子契約が解禁!電子化可能な範囲と導入の注意点
これらの改正により、契約書に添付する印紙税、書面の郵送にかかる通信費、顧客とのスケジュール調整などの負担が軽減され、不動産業務の効率化、ひいては働きやすさにつながることが期待されます。
不動産業界の働き方改善には「システム導入」
不動産業界の働き方をより良くするには、慣例となっている長時間労働を減らすことが急務です。そして、労働時間の削減には業務の効率化が欠かせません。
カギを握るのが人手に頼ったアナログ業務の見直しと、システム化やITツール導入による簡略化や自動化です。
ここでは、システム化やITツール導入によって効率化が期待される不動産業務を解説します。
物件入力・広告出稿業務
不動産業務を支援するシステムには、自社ホームページや管理画面への物件の登録、多数のポータルサイトに連動した広告出稿をワンクリックで可能にするものもあります。
これまで時間を割いてきた業務の簡略化・自動化が叶うだけではなく、トラブル時のフォローや効率的な出稿など、最小のマンパワーでこれまで以上の成果を達成できるでしょう。
顧客情報管理・追客
顧客の情報を手入力で登録するのは、手間や時間がかかるうえ、ミスが発生しやすくデメリットが多い業務です。
顧客管理をサポートするシステムを導入すれば、登録から管理までの自動化を実現します。さらに情報を一元管理するため、変更や修正にかかる負担を大幅に削減できます。
顧客からの反響があったときも、迅速な自動対応によってチャンスを逃しにくくなります。
申込み・契約書作成
賃貸借契約書や重要事項説明書などの書類作成は手間のかかる業務です。
そのため、システムやITツールに任せると効果を実感しやすいです。
不動産取引の電子契約を支援するシステムを導入すれば、作成から契約にかかる事務作業の効率化を実現できます。
不動産取引の電子契約について、詳しくは以下をご覧ください。不動産賃貸借での電子契約解禁はいつから?メリットや注意点を解説
システム導入に使える補助金・助成金
システム導入やテレワーク実施など、働き方改革のために必要な費用を補助してくれる制度があります。活用すればコストを削減しながら働き方を変えていけるためおすすめです。
内容の変更や更新は随時行われるので、日ごろから最新情報を確認しておくと安心です。
ここでは、不動産業者が利用しやすい補助金制度をご紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、販路の開拓や生産性向上にかかる費用の一部を支援するものです。不動産業の場合、常時雇用する従業員が20人以下で申請可能となり、経営計画書などの必要書類を提出し、審査に通った事業者が受給できます。
一般型とポストコロナに対応する低感染リスク型ビジネス枠とがあり、補助金の上限は最大100万円となります。
IT導入補助金
IT導入補助金は、自社の課題解決のためのITツール導入にかかる経費の一部を補助します。一般に中小企業と定義される事業者なら申請可能で、不動産業者の場合は資本金3億円以下かつ従業員300名以下が条件となります。
通常枠、デジタル化基盤導入類枠があり、最大で450万円を受給できます。
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働き方改革の改善策として企業へのシステム環境の整備やITツールの導入が推進されている今、日常業務を支援するシステムを提供するサービスも増えています。
数あるサービスのなかでも不動産業務におすすめなのが「いえらぶCLOUD」です。
不動産に特化した業務の自動化や簡略化、データの一元管理などを実現する便利なシステムとなっています。いえらぶCLOUDを導入すれば、ワンクリックで30以上ものポータルサイトに一括で広告出稿できるなど、従業員の負担を減らすだけではなく、業務効率を大きく上げられます。
IT導入補助金の対象ツールにも認定されているのも魅力です。
まとめ
不動産業界の働き方は、今まさに大きく変わりつつあります。国の政策や法整備によって従来の対面からオンラインへの営業や契約スタイルが変化するなか、業務効率化に役立つシステムを導入することが従業員の働きやすさにつながるでしょう。
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