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オンラインで行う重要事項説明とは?概要と具体的な実施方法を紹介

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多くの企業で、さまざまな業務がオンライン化している昨今、不動産仲介業においても、オンラインで完結できる機会が増加しています。現地に足を運ぶ必要のあった内見までも、オンライン化しているのが現状です。そこで、重要事項説明もオンラインで対応した方が良いのか悩んでいる不動産仲介業者の方もいるのではないでしょうか。

オンライン重説を実施するにあたっては、従来の重説との違いを把握しておくことが大切です。本記事では、オンライン重説について、実施方法や実施の際の注意点などをご紹介します。

オンラインで行う重説「オンライン重説」の概要

最初にオンライン重説の概要をご紹介します。

オンライン重説とは

オンライン重説とは、その名のとおりオンライン上で行う重要事項説明のことをいいます。ITを活用することから「IT重説」とも呼ばれています。

不動産業者は、賃貸物件の仲介で借主と貸主との契約が成立する際に、重要事項説明を行わなければなりません。売買の場合も同様です。いずれも宅建業法により、書面の交付も義務づけられています。

これまでは、紙に印刷された重要事項説明書を対面で交付していました。しかし、賃貸借契約は2017年10月から、売買は2021年3月から、オンラインでの重要事項説明が可能になりました。2022年5月18日からは電子書面交付も解禁されています。

オンライン重説の実施率

国土交通省の「IT重説等の実施状況と今後の対応について」によると、オンライン重説の実施事業者割合は、賃貸で13%、売買で5%です。現状では低い水準にとどまっています。

また、オンライン重説が解禁される前、オンライン重説に関する社会実験も行われています。賃貸取引、売買取引のいずれも平成27年から社会実験が行われ、その検証結果に基づき、目立つトラブルが発生しないことが証明されています。それによって、一定の条件下であるなら、オンラインを利用して重要事項説明を行っても良いとされたのです。

参照:「IT重説等の実施状況と今後の対応について」(国土交通省)

オンライン重説の実施要件

オンライン重説を実施するには、次の4つの要件を満たさなければなりません。

まず、双方向でのやり取りが可能なIT環境が必要です。主にZoomやGoogle meetなどを使用します。次に、重要事項説明書や添付書類は事前に送付しておかなければなりません。電子書面の場合には、顧客が事前にダウンロードしておく必要があります。

そして、重要事項説明を開始する前に顧客が重要事項説明書を見られる状態で、IT機器なども確認する必要があります。正常に音声が聞こえるうえ、映像が映る環境でないと開始できません。

最後に、宅地建物取引士証を提示し、自らが宅地建物取引士であることを示す必要があります。

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オンライン重説の導入・実施がもたらす効果

オンライン重説を実施することで、次のようなメリットを得られます。

顧客の来店にかかる負担を軽減できる

不動産業者は、遠方に住んでいる人が顧客となるケースも少なくありません。しかし、重要事項説明を対面で行う場合、顧客は店舗に出向く必要があります。顧客にとって、移動時間や交通費などの負担は大きなものとなります。

その点、オンライン重説なら、顧客は重要事項説明のためにわざわざ店舗まで出向く必要はありません。自宅でパソコンやスマホを使って重要事項説明を受けられます。物件の内見から契約、重説まで自宅から行えることは、顧客、仲介業者の双方にとってもメリットとなります。

柔軟な日程調整が可能になる

顧客によっては、仕事や家事が忙しく、長時間家を空けられないケースも珍しくありません。店舗が比較的近くにあったとしても、日程調整が円滑に進まないことも考えられます。

しかし、オンライン重説なら、環境さえ整っていれば自宅やオフィスでも重説を受けられます。自宅をなかなか空けられない顧客でも日程調整をしやすく、スムーズな賃貸契約を実現できるのです。

顧客とのやり取りを記録に残せる

口頭での説明だと、後から説明の内容を巡ってトラブルになることも珍しくありません。細かいやり取りに関しては、本当に説明したのかどうか、明確には覚えていないことも多いため、対応に苦慮することが多いです。

オンライン重説の場合には、顧客とのやり取りを録画により記録できます。後でトラブルが発生した場合には、説明した内容を明確に確認可能です。録画した内容を見て解決に役立てられる可能性があります。

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オンライン重説を実施する流れ

オンライン重説導入の流れは以下のとおりです。

1.顧客からオンライン重説に関する同意を得ます。
2.同意を得たら、顧客の通信環境を確認して接続テストを実施します。
3.カメラ・マイク・スピーカーの有無と動作確認、通信速度や接続の安定性なども確認します。
4.通信環境に問題がなければ、必要な電子書面を共有し、オンライン重説を実施します。

オンライン重説導入の詳しい流れについては、こちらの記事でご紹介しています。オンライン重説の導入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。IT重説を導入する流れを解説!おすすめのツールもご紹介

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オンライン重説を実施する際の留意点

さまざまなメリットがあるオンライン重説を正しく円滑に行うためにも、事前に注意しておきたい項目があります。

オンライン重説のデメリットについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。ご興味がある方は、ぜひご覧ください。【不動産会社向け】IT重説のデメリットとは。非対面取引を成功させるコツ

顧客の反応をこまめに確認する

オンライン重説は画面越しに顧客の反応を確認します。顧客がうなずいている様子なら安心して説明を続けられますが、反応が好ましくない場合も考えられます。画面越しでは、顧客のリアルな反応を受け取りづらい場合があります。説明の内容を理解しているのかどうか分かりにくいことも珍しくありません。

そのため、ひとつ説明するごとに分からないところがないかどうか確認して意思の疎通を図り、認識をすり合わせる必要があります。

手軽さから軽視されることがある

オンライン重説は、手軽に重説を受けられる反面、顧客によっては軽視されてしまうこともあります。

パソコンやスマホの画面をぼんやり見ているだけで、説明の内容があまり頭に入っておらず、重要な説明事項も聞いていない可能性も考えられます。それらが原因で、後々トラブルにつながる可能性も否定できません。

そのため、オンライン重説を行う前に、その重要性を顧客に理解してもらう必要があります。顧客、不動産仲介業者の双方のためにも、万が一のトラブルが発生した場合も想定したうえで対策を講じる必要があるのです。

物件に応じて使い分ける

すべての物件がオンライン重説に向いているわけではありません。内見を実施したうえで対面での重説を実施した方が無難な物件もあります。

特に、築年数の長い物件は、品質や機能の説明が多くなるため対面で重要事項説明を行う方が得策です。築年数の長い物件は、品質や設備について詳しく説明する必要があり、担当者と対面で説明を受け、納得したうえで契約を進める必要があります。

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まとめ

オンライン重説は、顧客に対して実施する重要事項説明をオンラインで完結させることです。2022年5月からは書面交付もオンラインで行えるようになりました。顧客の負担を軽減し、日程調整もしやすくなるなどのメリットがあります。

ただし、画面越しの対応となるため説明中の顧客の反応が分かりづらくなるうえ、手軽に実施できることで、軽視されやすいなどの点に注意が必要です。

現状、顧客のニーズは多様化しており、不動産業界もますます柔軟な対応が必要となります。今後は、さらにオンライン重説が普及していく可能性も十分に考えられるため、導入を検討する余地があるといえます。

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この記事を書いた人いえらぶ編集部

全国15,000社の不動産会社の業務効率化や売上アップをサポートする中で得たノウハウを日々発信中。SNS集客やBPOサービスなど、最新の情報もどんどん発信していきます。

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