自社管理の駐車場の事故は責任問題?管理者の責任範囲について解説
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「自社で管理している駐車場で事件が起こった」という経験のある管理会社の方もおられるでしょう。駐車場の事故はさまざまなケースがありますが、事故や事件の被害者から、管理責任を問われることはあり得るのでしょうか。
そこで今回は、管理している駐車場で事件が起こったら責任はどこにあるのか、どのように対処したら良いのかを解説します。自社のコンプライアンスを見直したいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
管理駐車場で起こる事故や事件の種類は?
駐車場で起こりやすい事故や事件の種類はおもに以下です。
当て逃げや接触事故
当て逃げの場合は、故意でないもの、他の車に当てたことすら気づかずに起こってしまうトラブルで、高齢運転者の数に比例して、急増しつつあります。
接触事故は当ててしまったのが空車の車両ではなく、車両同士の接触で、対人にも被害の及ぶケースです。
無断駐車
もっとも多いと考えられるのが、月極スペース内での無断駐車です。
駐車場の賃貸借契約に無関係の第三者が勝手に車を停め、そこを本当に借りている人が停められないという状態です。
駅近や利便性の高い駐車場で起こる可能性が高く、契約者には非常にストレスのたまる迷惑行為です。アパート・マンションで無断駐車された場合の効果的な対策法とは?
機械式立体駐車場の事故
機械式立体駐車場の事故は機械に挟まれたり、低所に向かって落下したり、下敷きになるケースです。
死傷事故に発展することも多く、注目が集まっています。
関係者以外は近寄らないよう工夫する、利用者には正しい利用方法の周知を徹底するなどの対策が求められます。
駐車場での、刑事責任の取り扱いは?
ここで問題となるのは月極駐車場や、賃貸物件の付属駐車場に対する道路交通法などでの扱いです。
同じ駐車場でも、コインパーキングやコンビニの駐車場などの種類で、不特定多数の人が出入りする場所については道路交通法の延長適用があり、警察が取り扱いしてくれます。
ところが、不動産会社で管理するような駐車場は、関係者以外立ち入り禁止が原則なので、お巡りさんの管轄外となり、民事で対処することになります。
たとえば、無断駐車を警察に相談しても、警察官は動く事ができません。
当て逃げや接触事故も、路上では犯罪ですが、私有地で不特定多数の人の出入りしない月極駐車場では、取り締まりの対象外です。
しかし、接触事故で死傷者が出た場合などは、自動車運転過失致死傷などが適用される可能性もあります。
こういった事件の対処はおこなわねばなりませんが、さらに被害者の方が、駐車場の管理責任があるので賠償してください!と貸主にクレームを言われることもあるようです。
そもそも、駐車場における貸主の義務とは何なのでしょうか?
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駐車場契約の事故の際の貸主の管理義務とは?
駐車場の契約においての貸主の義務ですが、実は以下の理由によって発生した事故については、貸主の義務違反で、責任が問われることがあります。
管理者の故意・過失によって発生した事故
駐車場内の設備の破損や、管理に問題があることから起きた事故です。
たとえば柵の破損がそのままになっていて車を傷つけたり、見通しが悪くカーブミラーもないために事故が起きた場合などは、管理者が責任を問われる可能性があります。
契約適合責任を満たさない状況が原因の事故
貸主は、借主と「駐車場を月額〇円で貸す」という契約を結び、民法第601条の賃貸借の義務を負っています。
これは居住用のお部屋の場合も同じですが、貸主には、その場所を駐車場として利用できるようにするという義務が発生していることになります。
無断駐車のような、借主がその場所を駐車場として利用できないような事態になった場合は、それを改善するための努力をしなければなりません。
これは居住用の物件でも適用されている「契約不適合責任」=契約したときに期待された性能や機能を果たしていないことに対する、貸主及び管理者の責任となります。
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駐車場で起こった事故や事件に対して、管理会社に責任はある?
上記で示したように、駐車場の管理者には「駐車場利用者が駐車場を利用することができる状態を維持する」という責任があります。
管理会社の責任範囲
事件が起こったときも責任を負わなくてはいけないのかと不安に思われる管理会社の方もいるのではないでしょうか。
駐車場の管理責任を問われるかどうかが何で決まるのかというと、それは「駐車場の状態と、契約時の内容」です。
これに前述の2点、「管理者の故意・過失」「契約不適合責任」が関係するかどうかが、責任の有無の判断の基準です。
管理状態が悪いことで故意・過失に問われる可能性があり、そのことで発生した事故は、管理責任があるとされる場合があります。
また、契約時に、監視カメラもついていて「安全性が高いですよ!防犯設備が整っています!」というような内容で借主が借りていたとします。
ところが車上荒らしの被害にあい、防犯カメラを確認したところ、実はその防犯カメラはダミーだったということがあったら、管理責任を問われる可能性があります。
ダミーの防犯カメラのように、契約時に駐車場の状態を偽ったりした場合は、契約不適合責任を問われることがあります。
一方で、駐車場内で接触事故が発生し、犯人も捕まらないことがあります。
こんな時、貸主に何とかならないかと貸主に言いたくなってしまう借主の気持ちも分からなくはないですが、契約的にはこちらに責任を負う義務はありません。
被害を受けた契約者の方の気持ちに寄り添いながら、補償はできない旨をお伝えすることになります。
駐車場に立てる看板の効力は?
よく月極駐車場で「当駐車場内の事故やお客様同士のトラブルについて、一切の責任を負いません」という看板を見ます。
また、もうひとつよく見かける看板に、「無断駐車を発見した場合は罰金として◯万円を申し受けます」というのがあります。
実はこの2つはどちらも、加害者への法的な拘束力はありません。
「トラブルの一切の責任を負わない」というのは、一切とは言えず、管理者が責任を負えないトラブルもありますというアピールです。
「罰金10万円」は民事に訴えるという意思表示であり、実際は被害額相当額の請求となることが多いです。
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まとめ
管理している駐車場で事件が起こった場合の責任はどこにあるのか、どのように対処したら良いのかを解説しました。
トラブルが起こったときにの対処も重要ですが、責任を負わなくてはいけないような事態にならないよう、日頃から駐車場の防犯設備の点検や状態確認をしっかりおこないましょう。
これを機に、管理されている駐車場の契約内容や、駐車場の状態を再確認してみるのも良いですね。
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