楽器禁止のマンションなのに楽器の演奏をする入居者への対応方法は?
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賃貸住宅でのトラブルで発生する率が高いのは騒音トラブルです。隣室や上の階からの騒音、テレビの音量が大きすぎる、掃除機や洗濯機を動かす音、ペットの鳴き声等々、騒音の種類もたくさんあります。騒音と捉えるかは個人の問題でもあり、解決が難しいトラブルの1つではないでしょうか。
今回は、騒音トラブルの中でも問題になることが多い、楽器の演奏による騒音トラブルについてご紹介します。
完全防音の部屋は賃料が割高
近年では、完全防音で楽器の演奏可能をウリにしている物件も増えてきました。完全防音であれば、近所のことを気にすることなく楽器を演奏することができます。
ですが、完全防音となると賃料が割高になっていることがほとんどです。そのため、賃料の安い住宅にして、内緒で楽器を持ち込み、演奏する入居者も少なくありません。楽器の演奏を許可していない物件なのにもかかわらず、楽器を演奏してトラブルを起こす入居者に対し、管理会社はどのような対応をすればいいのでしょうか。
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楽器演奏が許可されていない場合は演奏禁止が原則
集合住宅では、許可されていない限り、賃貸住宅では楽器の演奏をしてはいけません。これは、管理会社的には常識だと思います。楽器の演奏音は、ペットの鳴き声や大きい声での話声と同じくらいの騒音レベルだそうです。
環境省が「騒音に係る環境基準について」公表をしており、昼間は55デシベル、夜間は45デシベル以上が騒音とみなされる基準であるとしています。ピアノやエレクトーン等を演奏音は、70~80デシベルであり、騒音の基準値を超えてしまっています。そのため、集合住宅では楽器の演奏を原則禁止にしています。
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原則禁止だから賃貸借契約書に書く必要はない?
楽器演奏が原則禁止だからといって、契約書に楽器不可の旨を書かなくても良いのでしょうか?これは間違いです。賃貸契約書には必ず楽器使用不可について記載してください。
さらに、契約時には楽器演奏不可であることを説明しなければいけません。楽器禁止は原則だと言っても通用しない人もいます。そんな時、契約書に記載も無く、契約時の説明もないとなれば、「契約書には書いてないし、聞いてない」と入居者から言われるのが関の山です。楽器の持ち込みを禁止する条文を契約書の中に組み込むことも可能です。トラブルを事前に防げるよう、楽器演奏禁止について賃貸借契約書に記載されているかを確認してみてください。
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楽器不可と伝えたのに演奏する入居者の対応方法は?
演奏不可と伝えているにも関わらず演奏を続ける入居者がいたとしましょう。放置しておけば騒音が原因で退去者が出てしまうことにもなりかねません。
では、楽器演奏という迷惑行為を続ける入居者を退去させることは可能なのでしょうか?賃貸借契約を解除できるかどうかは、
①契約時に楽器不可の旨を伝えているか
②演奏しているのを黙認したことはないか
③何度も注意をしているか
以上の3点によって決まります。
退去を求めるには、それを求めるだけの正当性が必要です。契約時に楽器不可であることを伝え、契約書にも記載していることが重要です。
また、契約違反行為をしていることを知っていながら注意しないと「黙示の承諾」といって、違反行為を認めてしまったことと同じになります。注意してください。一度だけの違反行為では一方的に契約を解除することはできません。違反行為を繰り返し注意し、それが改善されない場合は「信頼関係の破壊」として契約を解除することができます。
まとめ
無断で楽器を演奏する入居者への対応についてご紹介しました。騒音トラブルは当事者間で解決しようとすると関係性が悪化してしまう可能性もあります。そうなる前に管理会社が間に入ってあげてください。
契約の締結時にも入居者との間に認識の齟齬がないように、取り決めをしましょう。同じ物件に暮らしている他の入居者が騒音から出ていってしまうリスクも頭に入れつつ、騒音トラブルを解決していきましょう!
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