不動産相続に関する調査2024|いえらぶGROUP調査
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調査サマリー
1. 相続登記の義務化、エンドユーザーの認知度は26.7%、売買仲介会社の78.9%と大きな差!
2. 不動産相続について家族で話し合ったことがあるエンドユーザーは16.3%
3. 売買仲介会社の71.6%が相続登記の義務化により不動産取引が増えると予想、すでに57.8%が相続相談の増加を実感
調査概要
調査期間:2024年2月2日(金)~2月12日(月)
調査機関:自社調査
調査対象:【不動産会社】「いえらぶCLOUD」を利用している不動産会社の従業員など、【エンドユーザー】「いえらぶポータル」利用ユーザーや当社SNSフォロワーなど
有効回答:【不動産会社】370名、【エンドユーザー】1,184名
調査手法:インターネット調査
本調査のプレスリリース:https://ielove-cloud.jp/news/entry-787
調査の背景
改正不動産登記法が2024年4月1日より施行され、不動産相続時の登記が義務化されます。相続により不動産を取得した場合、相続人は所有権取得を知った日から3年以内に登記申請の必要があり、違反すると10万円以下の過料が科されます。なお、2024年4月1日より前に相続した不動産も2027年3月31日までの登記が義務であり、注意が必要です(※1)。
相続登記の義務化の必要性は、東日本大震災をきっかけに明らかになりました。具体的には、復興工事のための用地確保が所有者不明土地により難航したことです。
2016年に国土交通省が行った調査によると、九州本島より広い4.1万平方キロの土地が所有者不明の状態でした。この面積は2040年には1.7倍に増え、本州の約1/3にあたる7.2万平方キロになると予測されています(※2)。
政府は相続登記の義務化以外の施策も進めています。「相続土地国庫帰属制度」を活用すると、手放したい土地を国庫に譲ることができます。2024年4月に始まる「相続人申告制度」では遺産分割未定で相続登記できない場合、相続人が自己申告できます。2025年3月まで相続登記にかかる登録免許税の免税措置や、100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置もあります(※3)。
加えて、政府も法務局での相談会や手続きの概要を漫画にするなど、相続登記の広報施策を行っています。いえらぶGROUPでも、本法改正の周知を目的に調査を行いました。
1. 相続登記の義務化、エンドユーザーの認知度は26.7%、売買仲介会社の78.9%と大きな差!
相続登記の義務化について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えたエンドユーザーは26.7%でした。2023年11月の調査結果(16.4%)から1.6倍に増えています(※3)。特に前回「知らない」の回答が多かった都内での認知度が向上し、15.3%から34.1%と2倍以上になりました。しかしまだ、低い水準にとどまっているのが現状です。
同様の質問を不動産会社に対して行ったところ、売買仲介会社では78.9%が「知っている」と回答しました。また、賃貸管理会社では60.4%、賃貸仲介会社では47.2%と、業種ごとの差が出ており、不動産会社全体では61.6%でした。2023年11月の調査と比べると56.7%から61.6%と4.9ポイント増加しました。
エリア間で傾向を比べると、エンドユーザーの認知度に大きな差異は見られません。しかし、不動産会社の認知度は異なり、2023年11月・今回ともに都内より地方圏の方が20ポイントほど高くなっています。地方では相続に関する相談が増え、法改正に関する認知も高まっていると想定されます。
2. 不動産相続について家族で話し合ったことがあるエンドユーザーは16.3%
「不動産相続に関して家族で話し合ったことがありますか?」という質問に、「はい」と答えたエンドユーザーは16.3%にとどまりました。ただし、「いいえ、でも話し合いたい」との回答は47.2%であり、合算すると63.5%で半数以上が不動産相続に関心があると言えます。
世代間で比較すると、家族で話し合ったことがある割合は20代以下では12.9%、60代以上では20.5%と年齢が高いほどに上がります。しかし、「いいえ、でも話し合いたい」との回答は20代以下では52.3%、60代以上では32.9%と年が若いほど多い傾向があります。
「いいえ、話し合う予定もない」との回答は20代で34.8%、60代で46.6%となりました。不動産相続に関わる機会が増えると推測される高齢者の割合が高く、不動産相続の後に適切な対応をせず、相続不明土地が増える可能性が危ぶまれます。
3. 売買仲介会社の57.8%が相続相談の増加を実感、71.6%が相続登記の義務化により不動産取引が増えると予想
不動産会社に「相続に関する相談が増えていますか?」とたずねたところ、全体の41.9%、売買仲介会社の57.8%が「増えている」、「どちらかといえば増えている」と回答しました。エリアで比較すると地方圏では51.6%、都内では34.8%と地方が都内の約1.5倍です。
この結果は2023年11月に当社が行った空き家に関する調査の「空き家物件の相談・取引は増えていますか?」という質問と似通った傾向があります。該当の調査では「増えている」、「どちらかというと増えている」との回答が地方圏で73.9%、都内で46.4%でした。地方圏では相続とともに、空き家の問題が発生していると想定されます。
また、「相続登記の義務化により不動産取引が増えると思いますか?」とたずねたところ売買仲介会社の71.6%が「増えると思う」、「どちらかといえば増えると思う」と回答しました。増えるとの予想も地方圏の方が高く、地方圏(73.6%)と都内(52.9%)で20ポイントを超える差が出ました。
本調査のプレスリリース:https://ielove-cloud.jp/news/entry-787
※1【法務省】「相続登記の申請義務化に関するQ&A」2024年4月1日より前に相続した不動産で、相続登記がされていないものについては、2027年3月31日までに相続登記をする必要がある
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
※2【国土交通省】所有者不明土地問題を取り巻く国民の意識と対応
https://www.mlit.go.jp/common/001238041.pdf
※3【政府広報オンライン】「なくそう、所有者不明土地! 所有者不明土地の解消に向けて、 不動産に関するルールが大きく変わります!」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202203/2.html
【法務局】「相続登記の登録免許税の免税措置について」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
※4【いえらぶGROUP】「空き家に関する調査」
https://ielove-cloud.jp/news/entry-707/
※5【国土交通省】「令和6年度 国土交通省税制改正概要」不動産譲渡契約書の印紙税は令和9年3月末まで軽減措置を延長。5,000万円を超え1億円以下の場合3万円、1億円を超え5億円以下の場合6万円
https://www.mlit.go.jp/page/content/001712685.pdf