不動産業における「電子帳簿保存法」改正のポイント!保管方法や対象書類について
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近年、デジタル関連改革法をはじめ、業務効率化のために諸法令の改正が急速に進んでいます。不動産業の多忙な日常業務の中で、それらをすぐ取り入れるのは大変なことですが、思い切って最新の状況に対応すると、数々のメリットがあります。
そこで今回は、電子帳簿保存法の改正がどのようなものか、保管方法や対象書類について解説します。書類の保管を見直して業務も効率化したいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
電子帳簿保存法の改正で、書類の管理が変わる!
電子帳簿保存法が改正され、今まで紙媒体保存が必須だった書類の電子保存が解禁されました。これにより、今まで法的な規制から電子化が制限されてきた不動産業界でも、書類の電子化が活発になると考えられています。しかし、改正によって具体的に何が変わるのかイメージできない方もいるのではないでしょうか。
ここでは、電子帳簿保存法の概要と改正により電子化が認められるようになった書類、書類保存の方法について解説します。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは1998年制定の法律で、一定の要件を満たせば、紙ベースの保管を義務付けられていた書類のデータでの保存、管理を認めることとしたものです。
ここで対象となった書類とは、税務書類・契約書・請求書・見積もり書などです。
法律の施行当初はさまざまな規制があり、実用的な普及は難しかったのですが、何回かの緩和措置や法改正の結果、取り入れる利便性が確保できるに至りました。
2022年5月からは以下の書類も、相手方の同意を得て電子データでの契約・書面交付が可能になりました。
・媒介契約書
・重要事項説明書
・賃貸借・売買契約書
・定期借地権設定契約書
・定期建物賃貸借契約書
お客様と交わす主要な書面は、電子データ利用が可能ということになります。
電子帳簿保存法で認められている書類の保存方法
電子帳簿保存法で規定された書類保存の方法は、以下の3つに分類されています。
電子帳簿等保存
最初からパソコンなどで作成した帳簿や書類(決算や取引に関係する書類)を電子データのまま保存する方法です。
スキャナ保存
取引の相手先から受領したり、自社で作成した紙の取引関係書類を、スキャナで電子化して保存する方法です。
電子取引
電子データで取引の相手先へ送付したり、相手先から受領した取引情報を、電子データのまま保存する方法です。
不動産テックの情報でよく取り上げられるのは、電子契約とその保存が中心ですが、今回のお話は、すべての不動産業務に関する書類の扱いが対象となっています。
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いつから?電子帳簿保存法改正のポイント
ここでは、電子帳簿保存法の改正によって変わった具体的な内容をご紹介しますます。2020年以降に改正したポイントも押さえておきましょう。
2020年~電子データがそのまま保存可能に
改正以前は、電子データの電子保存に関して、さまざまな要件が課されていました。たとえば、遅延なくタイムスタンプを付与したり、改ざん防止のためのマニュアルに沿った事務が必要である点などです。しかし、改正により電子データの電子保存の要件が緩和されたことで、電子保存が活用しやすくなります。
2020年改正の大きなポイントは、電子データをそのまま保存できるようになったことです。たとえば、書き換えに制限があるシステムを利用する際、タイムスタンプを付与する措置が必須ではなくなりました。
2021年~承認制度が廃止、タイムスタンプ制度が緩和
2021年にも電子帳簿保存法は大きく改正されました。ひとつは、承認制度が廃止されたことです。電子帳簿等保存やスキャナ保存で電子保存を行うためには管轄の税務署長から事前承認を得る必要がありましたが、承認が不要になりました。
スキャナ保存のタイムスタンプ制度の緩和も改正の大きなポイントです。従来は3日以内にタイムスタンプを付与する必要がありましたが、事務処理の実情も鑑みてタイムスタンプの期限が2ヶ月以内に緩和されました。
2022年~電子データの保存が義務化
2022年以降の改正のポイントは、電子帳簿保存法に定める保存のうち、電子取引について電子保存が義務となったことです。
従来は、原則として国税関係帳簿書類を紙媒体に出力して保存することが認められていました。しかし、法改正により電子データとして授受したものに関しては、電子データで保存することが求められます。
オンラインで発行された請求書やメールでやり取りした領収書なども電子保存しなければならないということです。ただし、2年間の経過措置があり、2023年12月末までは電子取引によるものも印刷して保存することが認められています。この経過措置を宥恕措置といいます。
2024年~猶予措置
2023年12月に終了した宥恕措置ですが、そのあと2024年1月から猶予措置というものが取られるようになりました。
猶予措置では下の①と②の条件をどちらも満たしているときに、改ざん防⽌や検索機能など保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができます。
①保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署⻑が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要です。)
※相当の理由とは、たとえば人手不足、資金不足、システム導入が間に合わない等です。
②税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合
猶予措置について詳しくはこちらをご確認ください。
電子帳簿保存のメリット
書類を電子化して保存するメリットとは、どのようなものでしょうか?
コスト削減
ペーパーレス化によって、印紙代や郵送費用、郵送にかかる人件費などが不要となり、電子メールで添付送信すれば良いことになります。不動産会社にとっても、1契約あたり数千円単位以上のコスト削減となるでしょう。
また、とくに契約書の場合は署名押印のために関係者が集まることも不要となるため、交通費やスケジュール調整も要りません。
重要事項説明もWeb会議で実施するため、集まる必要はありません。
これらのことから、導入された会社は契約が完了するまで1週間を要していたものが、1日で終わるようになったという声を頂きます。
また、文字どおり電子データで保存が進めば、保管場所はサーバ内となるため、紙の書面の保管スペースは今後縮小していき、不要となります。
紛失や減失リスクの削減
電子データでの保管のメリットは、失くしたり、天災の影響で失うリスクが極めて低く、書類の種類によっては簡単にバックアップを作成しておけることです。
より万全なリスク削減のためには、自社内ではなくクラウドサーバへのデータ保管をおすすめします。
また、紙の書面から必要なものを探し出すのではなく、検索によって簡単に必要箇所を呼び出せるので、「探せない」リスクの低減のほか、時短にもつながります。
セキュリティの効果
紙による保管は、持ち去りや盗視が容易で、リスクが高いです。
レインズへアクセスできる不動産会社はすべて、個人情報取扱業者に規定されることとなったため、個人情報の保管責任が高まっています。情報漏えいを防ぐ手段としても電子データ保管は有効です。
このほかのメリットとして、ペーパーレス化による環境配慮につながり、SDG’sへの取り組みとして社外にアピールできます。
電子帳簿保存で保管できるデータ
改めて、具体的に保管できるデータはどのような書類なのかをご案内します。
会計に係る帳簿
仕訳帳、総勘定元帳、得意先元帳などその他取引に関して作成された帳簿と規定されています。
帳簿は、現在でも所得税や法人税などで「紙」の保存が義務づけられているものに対し、「電子データ」保存も容認する特例制度です。
そのほかの書類
・決算関係書類(貸借対照表、損益計算書、棚卸表その他決算時の書類)
・契約書、領収書及び写し、預金通帳、小切手、借用証書、手形、有価証券の計算書、請求書、納品書など
・一般書類(検収書、見積もり書、注文書、申込書及び写しなど)
このような法改正の規定は、不動産業界だけでなくすべての企業に適用されます。しかし、まだまだ浸透度が低い状況にあります。
この電子化の流れは今後も強化され、あと戻りはないと考えられます。前述のようなメリットも多数あるので、早めに導入をすることをおすすめします。
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不動産業で電子帳簿保存法に対応するポイント
近年の電子帳簿保存法の改正により要件が緩和され、以前よりも電子保存がしやすくなりました。しかし、電子保存のためにいくつかの要件を満たす必要があります。
こうした状況を踏まえ、電子帳簿保存法に適切に対応するにはどうすれば良いのでしょうか。電子契約と書類契約に分けて不動産会社が対応するためのポイントを紹介します。
電子契約データ保存のポイント
改正以前まで、電子取引データの保存は紙媒体でも容認されていました。しかし、改正後は電子データによる保存が義務化されましたので、電子契約システムの導入が必要です。
電子契約システムを導入する際は、タイムスタンプ機能の有無(ない場合は事務処理規定が必要)、契約承諾の期間、データ保存環境について確認しておきましょう。
電子契約では双方が承認しないと契約締結とはならないため、あらかじめ署名できる期間などを定めておくと良いです。また、データ保存環境については、保存方法に不備があるとデータが消えることもあります。二重に保存しておくなど保存環境の整備も必要です。
書類契約データの保存のポイント
書類契約した場合、紙の書類はスキャナ保存により電子化して保存します。スキャナ保存において、特に重要な課題となるのがタイムスタンプの付与です。
データ保存時刻、変更・訂正履歴の確認(もしくは変更・訂正が不可)ができるようなシステムを導入し、適切な管理体制を整えましょう。
タイムスタンプ付与の方法や社内の運用体制について整備を進めておくことも重要です。
電子帳簿保存法への対応はいえらぶにおまかせ!
電子帳簿保存法に対応するためのシステムの導入なら、「いえらぶサイン」や「いえらぶCLOUD」の導入をおすすめします。導入により電子契約の円滑化と業務効率化が期待できます。
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いえらぶサインは、不動産業界に特化した電子契約機能です。
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複数人の署名・押印も自動転送を行い、必要な関係者のみが必要書類を開ける機能で、契約のメール送信は1回のみでOKです。
また、賃貸借契約更新や解約の対応も自動化し、対象の契約を自動でリストアップ、更新意思の確認、更新契約書の送付まで自動で行えます。
まとめ
電子帳簿保存法の改正がどのようなものか、保管方法や対象書類について解説しました。
不動産の業務をあらゆる角度から見直して、業務の効率化と集客に貢献する「いえらぶCLOUD」を、ぜひご検討ください。
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