マンションの管理人不足が深刻化、いないとどうなるの?
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今回は管理人業務の実態についてお話をしていきます。
単刀直入に言いますと、管理人がいないとまずいです。
管理人と言うと年配の方がやっているイメージを持たれることが多いと思います。管理や清掃業務を行う従業員数の約半分は65~70歳、8割以上が61歳以上となっています。
マンションの管理といえは、シニア世代に支えられているというのが実情です。
(出典 管理の仕事はシニアが支え(現場従業員の年齢構成)(週刊朝日 2018年4月27日号より):https://dot.asahi.com/wa/2018041800011.html?page=2)
高齢者の雇用そのものはそれほど難しくなさそうであるのに、近年、マンションの管理人の不足が問題になっています。
なぜ管理人が不足する事態が起きたのでしょうか?
そして、いないとどんな問題があるのか紹介していきます。
マンション管理の4つの仕事
マンションの管理人はキツイ仕事です。
マンション管理の仕事は主に、この4つに分けることができます。
①受付窓口対応
②建物設備点検
③管理人立会い、報告連絡
④清掃業務
とくに清掃業務が多くを占めるそうです。
マンションの管理人になりたがる人が少ないのには、こんな理由があります。
業務の幅が清掃、ごみの分別、見張りの他にも入居者の対応といった多岐にわたるものであるのにもかかわらず、収入はさほど良くないからです。
最近では、管理人不足で時給が上がっているそうですが、大変なうえに、とびきり収入も良くないとなれば忌避されることは容易に想像がつきます。
また、高層マンションともなると階段を上り下りし、清掃・巡回作業するというケースも少なくありません。
さらに理不尽なクレームを投げかける住民がいることも確かです。さまざまな住民が住んでいるからこそ起こる近隣トラブル。
「隣の部屋がうるさい。騒がしい。」「ごみの捨て方が間違っている。」
そんな隣人同士のトラブルに管理人が巻き込まれてしまうことも珍しくありません。
中には、入居者たちから毎月捻出する「管理費」「修繕積立金」を管理人費用に充てているとの理由で、管理人の仕事をチェックしている人がいるほど。
仕事がないからと言って、あからさまに休憩しているとクレームにつながることもあるそうです。
このように管理人は管理会社と入居者・建物のオーナーとの間で、板挟みになる職種で、精神的な疲労もあります。
働く世代はシニア世代が多いのがマンション管理業界ですから、なおさらです。
反対に、作業に慣れれば誰でもできる仕事であり、清掃作業や力仕事を除けば、ほとんどの時間を管理室でゆっくり過ごせるため管理人の仕事を長く続けている人が多いのも実態です。
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雇用形態の変化
雇用年数が伸びたことも、不足した原因の一つです。
シニア世代がメインの働き手であるマンション管理業界にとって、定年退職者を獲得できないことは雇用数に大きなダメージになります。
また、シニア層を雇用する業界も増えてきたので、高齢者の定年退職後の働き口を選択する幅が広がっています。
社会の仕組みの変化の影響もうけてマンションの管理人不足は起こっているのです。
また、管理人業務は清掃業務が中心となるため「きつそう…」「汚そう…」というイメージが、なかなか払拭できず、思うように人が集まらないのも現状です。
さらに、雇用も難しいながら離職率が高いことも問題視されています。
1人でマンション全てを管理するという業務に加え、変化のない単調な仕事が続きます。そこに低賃金が重なり、毎日のルーティーンワークに疑問を感じてしまい、辞めてしまう人が多いのです。
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管理人の勤務体系
管理人の勤務体系は以下の3つに分けることができます。
・常駐勤務
・住み込み勤務
・スポット勤務
「常駐勤務」は、毎日朝から夕方ごろまで決まった時間で、担当のマンションへ通勤し、一定時間マンションの管理業務をする勤務体系です。ほとんどはパート・アルバイトでの時給制ですが、正社員として募集している場合もあります。
「住み込み勤務」は、その名の通り住み込みでマンション管理をする勤務体系です。管理人用の居室が用意され、その部屋を借りて管理業務を行います。給与は月給制が多いようです。
「スポット勤務」は、小さい規模でのマンションでは管理人を常駐させるとコストが高いため、週に2~3回、定期的に管理業務を行う体系です。こちらもパート・アルバイトでの時給制です。
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管理人不足が招く問題
管理人が減っていることはお分かりいただけたと思います。
では、管理人がいないとどんな問題が起こるのでしょうか?
マンションの治安が悪くなる
管理人がいなくなることで、ごみ捨て場や、マンション周辺のごみや汚れ、無断駐車・駐輪、さらには防犯面にも影響が出てくでしょう。
特にごみ捨て場では、分別されていないごみや部外者が出したルール違反のごみなどが投棄されてしまいます。
また清掃がされないため、エントランスや周辺にはポイ捨てのたばこのごみや汚れがそのままになります。
エントランスや通路の電気が切れていてもすぐに取り換えてくれる人がいなくなります。
まさにスラム化してしまうといったところでしょうか。
ただでさえ少ない管理人が余計に減る!?
管理人の減少は、管理人1人当たりの仕事量の増加を意味します。
先でもいったように、管理人の仕事は多岐にわたる業務であり、一人でするとなると大変です。
複数人でやっていたものを、一人でやるようになれば心も体も疲弊してしまいます。
辞職が辞職を呼ぶ負のスパイラルが起こるかもしれません。
管理人が人である必要はあるの?
人手が足りないのならAIでの対応はどうか?と考える人もいるかもしれませんが、マンション管理の業務から見て、それは現実的ではありません。
管理人は時に、クレーム対応をすることもあります。人の気持ちを汲み取ったりしなければならないデリケートな場面でのコミュニケーションはAIではうまくいかない可能性が高いでしょう。
マンションでの暮らしを支えるのは管理人と言ってもいいくらいに重要な存在です。
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管理人不足の対処法
委託管理
セキュリティー面の監視はすべて機械が行うというものです。緊急時のみ委託された管理会社の社員が駆けつける体制です。
自主管理
マンションの所有者で管理を行う方法です。分譲マンションで行われる場合は、マンションの資産価値を維持する目的もあります。共有部分や敷地の管理業務を管理会社に委託せず、マンションの住民で清掃・管理を行います。メリットは管理費が安くなる点、近隣住民との交流が出来る点です。デメリットは、時間的・労働的なコストが大きいことです。
清掃・点検のほか、劣化が進んでいる場所の修繕など、入居者への肉体的・精神的負担が大きくなります。
まとめ
今回はマンション管理業界の人材不足と、その問題点について紹介していきました。
お給料を上げたとしてもなかなか人材を獲得できないのが現実のようです。
現代では当たり前となった外国人労働者の採用も解決策になるのではないかと思いますが、居住環境という住民とのコミュニケーションが重要視される管理業務では、ほかの業界のようにいかないのも難点です。
ですので、管理のしかたも考えなければいけないのかもしれません。
不足しているという状況を受け入れ、すべて人で行うのではなくセキュリティーの一部を監視カメラにする等、柔軟な対応が必要です。
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