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マンションの大規模修繕、かかる費用は?

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管理している物件も少しずつ古くなり、大規模な修繕も考えなければいけないというような状態の物件があったとしましょう。

そんな時、大規模修繕にはいくらくらいかかるのか、赤字にならないか、そんな心配をする家主もいるかもしれません。

こんな時、管理会社のあなたが修繕の計画に対してアドバイスできたら頼れる管理会社という印象を持ってもらえると思いませんか?

今回は、マンションの大規模修繕工事について紹介していきます。

大規模修繕のメリットは?

そもそも大規模修繕は何のためにするのでしょうか。

修繕工事をしている間は、家賃収入は得られません。

それでも修繕工事をするのは、物件の価値を維持するためです。

また、入居者に安全な住環境を提供するためにも、設備を新しくしたり、耐震性を向上させたりすることが必要です。

経営という視点から見ると、大規模修繕は節税対策にもなるようです。

修繕積立金を経費として毎年積み立てていけるため、所得税を減らすことができるのです。

大規模修繕とは何をするのか

いざ大規模修繕をやるぞとなっても、いつものような原状回復工事とは話が違います。

大規模修繕は以下のものがほぼ必要になります。

①外壁塗装②屋根塗装③外壁全体の工事④コーキング等の補修⑤防水工事(屋上やベランダ、バルコニー)

物件の劣化具合では、コンクリートの敷き直しが必要になることもあります。

経年劣化が著しい設備の総取替や給湯器の交換、エアコンの交換も一緒に行うのも一般的なようです。

頻度は10年から15年が通常と言われているようです。

気になる修繕費用は?

費用は、マンションの構造や築年数にもよるそうですが、一戸あたり100万前後かかることが多いです。当然、部屋数が多ければ金額も多くなっていきます。

また、費用の内訳は以下の通りです。

・足場の設置

1平方メートルあたり800円~1200円ほどかかるようです。

足場の設置は大規模修繕には必須になります。

・外壁工事

使用する塗料にもよるが、1平方メートルあたり1万円~3万円が相場となっています。

・エアコンの交換

1台当たり5~10万円ほど。

大規模修繕工事の費用の徴収方法とは?

以上のことからも分かるように、大規模修繕工事は多額のお金がかかります。

そのため計画的な積み立てが欠かせません。

多くのマンション管理組合では、修繕積立金として事前に工事費用を徴収しています。しかし、修繕積立金の徴収に苦戦する管理組合が増えてきています。

修繕積立金の徴収方法には「均等積立方式」と「段階積立方式」の2種類があります。

「均等積立方式」とは、将来的に必要な修繕工事費用から逆算して、一定額を徴収し続ける方法です。一方で、段階的に積立額を増やしていく方法を「段階積立方式」と言います。

そして、積立金の徴収に苦戦している管理組合の多くが「段階積立方式」を採用しています。

入居者が購入する際に価格を低く見せるため、これまで多くのマンションで導入されてきました。しかし、人件費や資材の高騰により徴収額が大きく上昇したことで、支払えない入所者が増えているようです。

入居者から修繕積立金を徴収できないと、大規模改善工事が延期される可能性もあるので、徴収は計画的に行いましょう。

今後、修繕積立金の値上げ幅が制限される?

国交省は2023年10月30日に、修繕積立金の適正な引き上げ幅を検討する会議を実施しました。これにより、今後は修繕積立金の大幅な引き上げを行えなくなる可能性があります。

ここでは、値上げ幅制限の目的や内容などをご紹介します。

値上げ幅の制限の目的と内容

国土交通省は2021年9月に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を改訂しました。このガイドラインには、修繕積立金の額の目安や算出する際の留意点、長期修繕計画についての指針が記載されています。
参考:「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」

しかし、このガイドラインはあくまで目安であり、実際の修繕積立金の額は管理組合が自ら決定できます。そのため、長期修繕計画の見直しや工事費の高騰を理由として、急な値上げが行われるケースもありました。

それに伴い、住民からの不満や不安の声が高まり、支払いが困難になることや、管理組合内での意見対立のリスクが生まれています。

このような背景を受け、国土交通省は修繕積立金の値上げ幅を抑える指針を策定することとしました。

2023年度中には検討の方針を示すとのことですが、見直すのは以下の2点になる見通しです。

①「管理計画認定制度」の基準
管理計画認定制度とは、2022年4月に開始された、マンションの修繕計画や積立金の状況を自治体が認定する制度のことです。

②「標準管理規約」
国が定めている、マンションを適切に維持管理するための基本的なルールが記載されています。
参考:日本経済新聞「マンションの修繕積立金、適正上げ幅を検討 国交省会議」

修繕積立金の適切な運用の重要性

国土交通省の新しい指針は、住民の負担や不満を軽減することを目的としています。ただし修繕積立金が足りず、大規模修繕が延期されるのは避けなければなりません。

修繕積立金は、マンションの資産価値や安全性の維持のために欠かせないものであり、適切な金額を適切なタイミングで積み立てることが求められます。

そのため、管理組合に加入されている方は以下の点を意識しましょう。

・長期修繕計画を定期的に見直し、現状に合わせて更新する。
・修繕積立金の金額は長期修繕計画に基づいて設定し、将来的な不足や過剰な金額が生じないよう注意する。
・修繕積立金の額を変更する際には、住民に対して明確な理由と根拠を提供し、理解と同意を得る努力をする。
・修繕積立金の運用状況や残高について、住民に対して透明性の高い情報を提供し、信頼関係を築くこと。

■まとめ

今回は大規模修繕工事について書いていきました。

物件は年月が経てば劣化していきます。

劣化したものは修繕をしなければ、価値が落ちていくことは言わずもがなです。

大規模修繕工事を全く考えない家主さんはあまりいないとは思います。

マンションの状態を家主に正確に報告することも管理会社の務めです。

家主が計画的に大規模修繕工事ができるように、物件の管理をしていきましょう。

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この記事を書いた人いえらぶ編集部

全国15,000社の不動産会社の業務効率化や売上アップをサポートする中で得たノウハウを日々発信中。SNS集客やBPOサービスなど、最新の情報もどんどん発信していきます。

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