契約時と違う事業を始めている入居者を契約加除することは可能なの?

事業用の賃貸も行っている管理会社の方の中には、契約時に説明していた事業とは違う事業を入居者が勝手に始めていたという経験をお持ちの方もいるかもしれません。
無断でそんなことをされていたら、契約解除したいなと思うこともあると思います。
今回は、違う事業を始めていた場合契約解除できるのかを説明していきます。

契約時とは違う事業をしていることが発覚!
入居者からかかってきた一本の電話。
その内容は「マンションの1階にあるお店、塾と聞いていましたが飲食店やってます・・・」というものでした。
飲食店をやるなんて聞かされていなかった管理会社のスタッフが、すぐに借主へ連絡すると、事業用で借りてるし何をやってもこっちの勝手!というようなことを言われてしまったとしましょう。
1階が飲食店のマンションには住みたくないと考える人も一定数いるはずです。
この状態が続けば、引っ越してしまう人も出てくる可能性があります。
貸主は飲食店を経営している借主の賃貸借契約の解除を求めています。
こんな時管理会社はどうしたら良いのでしょうか。
賃貸借契約を締結するにあたって発生する義務は貸主だけでなく借主にも
貸主の一方的な都合では契約の解除は難しいということはほかの記事でも何度も書いてきました。
ですが、賃貸借契約書の中には借主が守らなくてはならないルールがあります。
①賃料支払の義務
②善管注意義務
③目的物返還義務
④用法順守義務
以上の4つが、借主が守らなくてはいけないルールになります。
今回の場合は④の用法順守義務に違反しています。
ペット禁止なのにペットを飼う、楽器禁止なのに楽器を演奏するというのも用法順守義務違反になります。
民法上では、用法順守の義務に違反する行為をした場合、賃貸借契約を解除できる理由になるとされています。
貸主が即解約を求めているけど、それは可能?
1階が飲食店と知った貸主は、その店の即刻退去、契約の解除を求めています。
今回のような用法順守義務違反の場合、先ほども説明したように契約解除をする理由になります。
ですが即契約解除ができるのかといえば必ずしもそうではありません。
即契約解除をするには、貸主と借主の間で信頼関係が崩壊しているといえるだけの重度な用法順守義務違反なのかどうかにかかってきます。
契約解除が認められたのは、事務所の目的で貸し出したがテレホンクラブとして利用していた、暴力団の事務所にしていたという事例です。
①建物全体の品位を損なうような事業内容
②ほかの入居者からの苦情があった
③本当の用法を隠して偽った用法で契約している
以上3点が契約解除を有効にした要因です。

まとめ
①契約までにどのような経緯をたどったか
②用法順守違反に関する貸主と借主のやりとり
③建物に及ぼす影響
④ほかの入居者に与える影響
以上の4点が契約解除に相当するか否かの判断基準になるようです。
店舗や事務所で借りたいという人との契約時には、具体的にどのような事業をするのか聞いておきましょう。
借主とのこれまでのやり取り等も、簡単でいいので残しておくといいと思います。
それは契約前にも通ずることです。
様々なリスクを考えたうえで契約を結ぶことは貸主のためにもなります。
事業用賃貸は特に注意が必要かもしれませんね!
